つまりはそれだけのこと 01
「つ、つまり、これは私の体に入っちゃったけど抱えきれないエースの魔力で、エースへ還元すれば治るってこと?」
「そうそう。その母乳モドキはセックスで伝わったオレの魔力で、乳首から直接吸い出して飲み干せば治るから」
「なんでぼかしたのにわざわざ言うの?!」
エースがこういった意地悪をするのは今に始まったことじゃない。恥ずかしがる私を楽しんでいるのだから一々反応しないのが正解だとはわかっているけれど、なかなかままならないものである。
事の発端は朝起きたら胸元がべったり濡れていて。恐る恐る脱いで確認したところ、真っ平らな胸が張ってた上に埋まった乳首から白い液体が漏れ出していた。
あいにく可能性ができるような事をしていた、というか昨晩も隣に眠っていた恋人とした為に、まず妊娠の二文字が頭に浮かんだが、さすがに母乳が出る前に気付くだろうから違うなと。
でもそうすると他はもう病気としか思えなくて、あと一行に止まらないせいで上半身裸のまま悩んでいたところ、目覚めたエースによって原因と対処法が明かされたのだった。
これは魔力による疑似妊娠と呼ばれる現象らしい。
この世界の人は魔法を使えない人も含め、皆魔力を持って生まれてくる。そして魔力は粘膜接触によって相手に移ってしまうものなんだとか。
通常であれば同量の魔力を交換しあうので問題無いが、あまりに魔力量に差がある場合、一方に相手の魔力が蓄積されてしまう。そして限界を迎えた場合、母乳という形で発散されるのだと。
出し切れば収まるため、放置しててもいいが、原因となった相手に呑ませるのが一番効率が良い。
……以上がエースから受けた説明である。正直眉唾物だけれど、エースはちゃんと時と場合を選んでジョークを言えるタイプだ。体調に纏わる事で嘘を吐いたりするわけがない、だから彼の言ってることは本当なのだろう。今だってわざわざ自分のパジャマの上を脱いで私の肩にかけてくれてるぐらいだし。
幸いにも今日は休みで、グリムは休日の間イデア先輩と新作ゲームで遊び通すらしくイグニハイド寮からそのまま登校するとスマホに連絡が入っていた。ゴーストのおじちゃん達は私のプライバシーを配慮して、この寝室には入ってこない。
だから朝という時間帯に私の中でちょっと抵抗があれど、今からそういうことになっても何も問題はないのだ。
「、ここ乗って」
「じゃあ、えっと、お願いします……」
ベッドの上であぐらをかいたエースが自身の腿を叩いて促してくる。彼が示しているだろう体勢に近すぎない?とちょっと躊躇ったが、これからする事を考えたらその方が正しいなと納得して。
おずおずと彼の上へ横向きに座る。世間でいう所のおひめさまだっこだ。重くない?と尋ねる私へ、別に?と口にしながらエースは腕を私の腰と足へ回す。そうして私を支えた状態でエースが胸へと舌を這わせた。
「ふ、ぅ♡」
気持ちよさについ逃げてしまいそうだ。そう考えて、より密着するように彼の肩へと手を置かせてもらう。とぷとぷと零れていた母乳を舐めとって、へこんでる先端をエースが口に含む。それから彼はちゅうと吸い付いて慣れた舌使いで隠れていた先端を引きずり出した。
母乳を促すためか、唇で軽く食んで引っ張るようにして吸われる。全部エースの口の中で行われている為、私からは見えないのだが、さっきよりも勢いよく出ている気がする。
これは治療行為だとわかってる。だが普段の愛撫とさほど変わらない動作に、散々彼に愛されてきた体は過敏に反応してしまう。
気を紛らわせようと咄嗟にエースの頭を撫でる。平然と飲んでるけども母乳って青臭くて飲めたもんじゃないとか、大人が飲んだらお腹壊すとか聞いたことあるけど大丈夫なのかな。モドキであって自分の魔力だから問題ないのかもしれない。
彼の整った顔と行動のアンバランス差に頭がくらくらしてくる。なんだか現実味がない。でも胸からじわじわ与えられる快感がこれは今ここで行われている行為なのだと教え込んできて。
「次、反対な……ってもう出てるし。ってば、そんなに興奮してたの?」
ちゅとわざとらしく音を立てて唇が離れる。エースの指摘通り、何もされていないにもかかわらず反対側の先端はぷっくりと顔を出していた。じわっと滲んだ白に塗れた様がひどくいやらしいものに見えて、なんだか泣きたくなる。どんなに目を逸らしたところで、それが物欲しげに主張していることには変わりないのが恥ずかしい。
くに、とエースが指で遊べば更に溢れて。できるだけ意識しないようにしていたけど、なんだかいつもより敏感になってる気がする。例えエースが触れていなくとも胸の先がジンジンと痺れていて。
尖らせた舌先で乳輪をなぞられる。さっきはすぐに触ってくれたのに、今度は焦らすつもりらしい。飲んで飲んでとばかりに胸の先は膨らんでいるのに、かりかり軽く爪で引っかかれるだけ。その刺激にじゅわと緩く吐き出されたそれがおなかに向かって一直線に垂れていく。
ただヘソに辿り着く前に舐め上げられ、そのままもう片方もぱくりと咥えられた。ぢゅっと強く吸いついた上、ほんの少しできた膨らみを搾るように彼の手が掴む。口に含んだまま、飴玉でも舐めるように舌で転がされたり、固くした舌先で突かれたり。ふうふう、と乱れた呼吸が自分の唇から零れていた。
仕上げとばかりに歯を立てられた瞬間、バチバチと頭の中で火花が散った。喉が仰け反り、びくんと大きく体が跳ねる。私の体が痙攣する中、エースが口を離して。
「、治ったんじゃない?」
「……なお、った?」
「もう出てないでしょ」
イったばかりで何も考えられなくて鸚鵡返しになってしまった。彼の言葉に数秒間置いて、自分の胸を確認する。確かにあれだけ零れていた母乳らしきものはぴたりと止まっていた。ついでに胸の張りも無くなってる。
この体勢は彼にとって負担だろう。だったらもう用は終えたのだから降りるべき。そう思うけれど、お尻に当たる熱に離れたくないという気持ちが勝ってしまった。エースも興奮してくれたんだ。
胸への愛撫に高められた体は一度イかされたぐらいじゃ満足できない。もっと触ってほしい。それにエースも気持ちよくなってくれなきゃ嫌だ。
「えーす、きすして……」
自分でも呆れるほど甘ったるい声だった。だからなのか、エースはひどく驚いた顔をしてる。
ただ確かにあざとすぎる態度だったかもしれないけれど、そんなに驚くことなんだろうか。改めて彼の顔を見つめる、何故かエースは気まずげに唇を動かしていた。
「……キスって粘膜接触だけど」
「? えっと、そう、だね」
「さっきも言ったけど無意識にやってるから制御できないし、ゴム付けても魔力は通過するから防げないんだけど」
いつもなら、しょうがねえなあって言いつつも嬉しそうにすぐキスしてくれるのに。エースは最初の説明の時の話を再度繰り返すばかりで、唇は寄せてもくれない。
普段とは違う彼の対応にどうして?と疑問が頭をよぎる。しばらく考えて考えて、彼の発言を脳内で繰り返していた最中、はたとある結論に至る。咄嗟にパッと口に出しかけた言葉を何とか喉の中央で押しとどめた。
エース、もしかして、いやもしかしなくても、これ今回の件をかなり気にしてるのでは?
「……エース」
渋る彼に自分からキスをする。昔よく食べたミルクキャンディみたいな甘い味が口の中に広がった、これが彼の魔力の味なのだろうか。
触れ合うだけのいとけないそれを何度も繰り返していれば、エースが舌を絡めてきた。下手くそながら頑張って応えようと必死で舌を動かす。
舌を吸われたり、緩く噛まれたり、私の口内をエースは弄くって。隅から隅まで彼の舌が触り終えたところで唇は離れていった。
彼の胸板にもたれかかる。さっきまでのキスで息を食べられてしまったみたいで、なかなか呼吸が整わない。宥めるかのよう、腰を支えてくれていた手が私の背中をさする。
一連の言動にやっぱりエース優しいよなあ、なんて思いながら、すりすりと彼の体に頭を擦り付け甘えながら私は口を開く。
「おっぱい出るのはちょっと困るけど、それでもエースとキスも……その、えっちもしたい」
「……ちょっとだけなの?」
「え、えっーと、あの、ね。私この通り胸全く無いし、他の子と違って乳首も変でしょ? それでもエースがいっぱい触ってくれて、えっちな気分になってくれるの、嬉しいの。だから、正直おっぱい飲まれるのは嫌じゃないというか、むしろ、」
してほしい、と尻すぼみになりながらもなんとか言い切った。
ちょっと経ってからとんでもない事を言ってしまったと思ったけれど、きっと必要なことだったし、無言でぎゅっと抱きしめてきたエースに言って良かったなあって。
おなかを撫でられてエースの手がズボンとショーツの中へ差し込まれる。エースの指が触れた秘部はもうぬるぬるになっていて、その上昨日いっぱいしたせいでまだやわらかいからだろう。簡単に彼の指が入り込んでいく。
見えないけれど感覚でわかる。ぐちぐち指を抜き差しして、ぐりと陰核を押しつぶして。
「ッ、えー、す♡ えーす♡」
「こっちでもイっとこうな」
「ふ、ぁあッ♡」
私の弱い所を知り尽くした彼の指によって再び上り詰める。ぽーっとしている間に下を全部脱がされた、おかげで私が今纏っているのは肩に掛けただけのエースのパジャマのシャツだけだ。
「えーす、ぎゅってできるのがいい……」
「ん、わかった。どっちにしろ、お前抱えたままじゃゴム付けるの難しいしね」
エースの体から下りれば、彼はズボンをずらし、ヘッドボードの引き出しから取り出したゴムを慣れた手つきで身に付ける。準備が整ったのを見計らって、エースに向き合う形で彼の足の上へと移動した。
エースに誘導されながら、ゆっくり腰を下ろして体内へ彼の熱を飲み込んでいく。全部受け入れたところで、ぎゅっとエースに抱きついた。奥の奥まで彼で満たされている、それだけでもうばかみたいに気持ちいい。
腰をがっしり掴まれて、下から大きなものでゆるゆる中を擦られる。感じてしまうところを優しく刺激され、お腹の奥がじわじわと熱くなっていく。
埋め込まれた熱が抜かれる度、離れるのを嫌がるかのように内壁が搾って引き留める。それが無性に恥ずかしいけれど、どうしようもない。だってそれだけエースに惚れてると自分でもわかってるから。
一旦体を離された後、エースが私の胸へと唇を寄せる。ツンと立っていても、そこはもう何も出さない。けれど、ちうちうとエースは懸命に吸い付いて。その様におなかの奥がきゅんきゅんと疼く。
緩急を付けつつ、とんとんと奥を突き上げられる。揺さぶられているのは体のはずなのに、胸と子宮から響いてくる痺れに頭がくらくらする。増した快感に私はさっきよりも大きな嬌声を発していた。
「……ってオレのこと、めちゃくちゃ好きだよな」
「う、ん♡ ひあっ♡ えーす♡ すき、だいすき♡」
「ん……オレも好きだよ、」
ぎゅうっと強く抱きしめながらエースが囁いてくる。それから、どちらからともなく唇を合わせて。
エースはめったに好意を口にしない、代わりに行動で示してくれるから私は不満に思っていなかった。でも言葉にされるとこんなにも嬉しいものなんだなって。
その後もエースは何度も「好き」と告げてくれて。それに喜ぶあまり、いつも以上に乱れてしまって。結局朝っぱらから三回も彼との行為に耽ってしまったのだった。