唇は私だけにしてね 01
スカリーくんの好みを直接聞いたわけじゃないので、私の勘になるけども、たぶん彼はスレンダーな子が好きなんだと思う。
彼自身が細身だし、サリーさん相手にテンション上がってたし、静寂・素朴・清貧が好ましいってところからして、抱きしめたら折れちゃいそうなほっそりとした儚げな子がタイプに違いない。
対する私はグラマーになりやすい家系なのだが、自分もまたその例にガッチリ当てはまっていて。
しかもそれを生かす方向に頑張っちゃったんだよなあ……。自慢じゃないなんて謙遜はしない。なにせ出るとこは出て、引っ込むところは引っ込んでる、大抵の男性の理想と言えるグラビア体型なので。
中学に入る頃にはご立派になりすぎた胸のせいで、女子から目の敵にされ、男からは好奇の目にさらされ、普通ならコンプレックスになっていたのだろう。
だが私はキレた。なんでどうでもいいヤツらのせいで、私が自分を嫌いにならんといかんのじゃボケナスと。大事に育ててくれた家族の教育の甲斐あって、幸い私は自己肯定感が大変高かった。
そもそもどうせ嫌がろうが隠してようが見られるのだ。だったらいっそ自分が魅力的なばっかりに……!と開き直れる路線に走ってしまおうと。
そういうわけで努力と研究を重ね、このナイスバディを手に入れたことを今まで後悔したことはなかった。でも今、初めて悩みの種になってしまっている。
いくら自慢のデカ乳だろうが好きな人に刺さらないなら、ただの扇情的な贅肉でしかない。
ならば仮にも恋する乙女なら好きな相手の為に減量頑張るぞ!と決意すべきなんだろう。
でもあいにく私はこの体に思い入れがあるし、ここまで魅力的に仕上げたことは誇りなのだ。いくらスカリーくんをドキドキさせられないとしても、そう簡単に捨てられるほど安いものじゃなくて。
頭を捻るが一向に解決の兆しは見えず。うーん、どうしたらいいんだろう。