突発トリックガール

 スカリーくんは大きい。なにせあのツノ抜きのツノ太郎やセベクよりも身長が高いのだ。
 NRC生はほぼ私よりデカい男しかいないが、その中でも彼はダントツで身長差がえぐい。だからこうなることは予想できていたはずなのだが。

「うーん、もはや普通のシャツワンピ」

 前々から彼氏ができたらやってみたいことがあって、とスカリーくんにお願いして借りた彼のブラウス。それを羽織ってみたが、当然ながらぶっかぶかである。鏡は見ていないが、着るというか服に着られてる感(物理的な意味で)が凄まじいことだろう。
 スカリーくん、あれだけ足が長いから、もうちょっとブラウスの丈は短いとは思ってたんだけどそんなことは全然なかった。余裕でお尻が隠れる。……決して私の足が短いだけではない、と思いたい。
 腕も萌え袖とか呑気なこと言える余り具合じゃないんだよな。袖とかどんだけ捲らなきゃいけないんだ、これ。ええい手足長々民め。
 色々と堪能したところでお披露目相手であるスカリーくんの様子を窺う。いつもならベタベタに褒めてくれるのに今回は静かだから余計に気になっていたのだ。
 ソファーに腰掛けている彼は顔を両手で覆って身を縮めていた。可愛い彼女からの萌えシチュにその反応はどういう了見だア゛アン?

「その格好は、なんというか、その、いけないと思います。すごくいけない……」

 やっと感想を述べたと思ったら否定的なコメントを飛び出してきたことにイラッとする。
 苛立ちからスタスタと近寄って、向かい合うように彼の膝の上へと座り込む。スカリーくんが短く悲鳴をあげたがお構いなし。俯いていた顔をぐいっと無理矢理上向かせる。赤くなった肌はハッキリ熱を含んでいるのがわかった。

「何がダメなの?」
「だめ、なわけじゃなく、て」

 しどろもどろに口を開くスカリーくん。さすがにこの態度を見れば、否定されてるわけじゃないことはわかった。むしろ歓迎してるよね。
 まあ……そもそも、こういう格好をする以上はそういうことも想定してたわけだからかまわないのだけど。じゃなきゃ対面座位の体勢なんてとらないんだわ。
 でもこんなガチ照れしてるスカリーくんを見たら、意地悪したくなっても仕方ねえよなぁ!?

「えいっ」
「ひゃわーー!? えっ、あ、あの、さん、下着、は」
「パンツは履いてる」

 胸を押しつけてる私の回答にコキュとスカリーくんが喉を鳴らす。
 キスを仕掛ければ、入り込んできた舌によって早々に主導権を奪われた。唇を合わせられたまま、ふにふにとブラウスを直に着ているだけの胸を揉みしだかれる。

「ブラウス、汚しちゃうかも」
さんの香りが付いた以上、どうせ洗濯するので……貴方の香りに包まれた状態で、我輩、まともでいられる自信がありません」

 さくっと理由を説明するスカリーくんに、私への理解度が高いなと思う。前半聞いた時ちょっとケンカ腰になりそうだったからね。
 ブラウス越しに胸の谷間へスカリーくんが顔を埋める。スーッて音が聞こえたのでたぶん匂いを嗅がれてるんだろう。
 膝の上に乗ってるから立ってる時よりはマシとはいえ、そんな体痛くなりそうなレベルまで折り曲げてまでやることなんだろうか。監督生吸い。実はちょっと、だいぶ変態ちっくだなと思ってる。許容範囲だから別に良いけど。
 ぷくと主張し始めた胸の先をブラウスの上からスカリーくんが舐める。彼の唾液で濡れた生地が透けて、興奮した赤色が滲むのがなんだかひどくいやらしい。
 胸を弄られている間に少し体を後ろにずらしてから、窮屈なことになっている彼の下半身をズボンから取り出す。私ばっかり気持ちよくされるのはなんだか悔しいし。
 わからないなりに気を付けて彼の熱を両手でしごく。本当はちゃんと見るべきなんだろうけど恥ずかしいのと、あとさっきからずっとちゅーされてるので物理的に無理。
 手の中でびくびく跳ねてるところからして気持ちいいのだろう、たぶん。自信はないけど、さっきよりも荒くなった彼の吐息とか鋭くなった目つきからして。
 スカリーくんの手が私の下腹部に伸びる。ブラウスの下にもぐりこんで、ぴたと動きが止まった。

「……さん、あの、下着は?」
「付けてるよ、ほら」
「ひえっ」

 捲り上げたブラウスの下から出てきた大事な部分の布がないショーツに、今日何度目からわからない動揺の声をスカリーくんはあげる。ただその視線は角度的に見づらいだろうに、穴あき部分に釘付けになっていた。
 ドッキリ大成功なのは嬉しいけど、上に座ってたのに直接触るまで気付かなかったのか。私、普段からそんなにびしゃびしゃになってるのかな……。

「あの、さん、あまり、こういったことは」
「……好きじゃなかった?」
「好きです、大好きです。ただ興奮しすぎて、めちゃくちゃにしてしまいそうなので」

 答えはわかりきっていたけど、ちょっとあざとめに質問すれば、想像よりも正直な感想が返ってきた。いつもめちゃくちゃにしてるのに何を今更。……あれ以上か……。
 私がちょっぴりおののいたところで止まれるはずもなく。ぐちゅぐちゅと潤んでいた中をスカリーくんの長い指がかき回す。大きく響く音に、いつも以上に濡れているんだぞと教え込まれてるみたいで恥ずかしい。
 指が抜けたのを合図に腰を上げて、自ら彼の熱の上に跨がって中へと迎え入れていく。しっかりほぐされていたのと、徐々に進めたおかげであれだけの大きさを受け入れたのも関わらず痛みはない。相変わらず圧迫感は凄いけど。
 繋がっている部分はサイズオーバーのブラウスに隠されて見れない。でも根元まで飲み込んでいるのだと触覚がしかと訴えてくる。
 一番深いところにゴリッとめり込んだ熱に体が跳ねた。ぎゅーっと収縮する中に達してしまったことは伝わっているはず。なのに絶頂の余韻が抜ける前にスカリーくんが内壁を擦るように突き上げてくる。
 すっかり知り尽くされた体は彼の思うがままに乱れるばかりで気持ちいいのが止まらない。背を仰け反らせてよがって、もうだめと泣いても休むことなく突き上げ続けられる。
 何度も何度もイく私とは対照的に、全く興奮が冷めやらない様子の彼に、今夜は長い夜になりそうだと全身を巡る快感の中で覚悟した。

 案の定、脱がされることのなかったブラウスはお互いの体液で汚れたし、めちゃくちゃシワシワになってしまった。
 それについてはさくっとスカリーくんが魔法で片付けて。今の私はシーツでぐるぐる巻にされた状態で彼に抱きしめられている。
 たぶんスカリーくん的に、あの格好見てるといつまで経ってもムラムラし続けてしまうんだろう。
 だが普通の下着とパジャマに着替えさせようにも私は足ガクガクで自室まで取りに行けないし、スカリーくんも許可をもらっていようが私の私物を漁るのは気が引ける……その為の苦肉の策なんだと思ってる。

「本当にめっちゃくちゃにされちゃったなあ」
「すみません、誠に申し訳ございません」
「別に怒ってないよ。むしろ興奮してくれたんだなって嬉しい……それはそれとして足腰立たないから、しばらく面倒見てね」
「はい、喜んで!!」

 居酒屋の店員みたいに元気よく返事されてしまった。居酒屋でアルバイトしてるスカリーくん……うーん、すごい似合わねえ!
 なんてアホな妄想を繰り広げている間もイチャイチャしてるわけだが、そのうちスカリーくんがモジモジし始めた。何か言いたげだなと発言を待っていれば、ぎゅっと強く抱きしめられる。

「……さんがお嫌でなければ、また着ていただけませんか」
「どっちを?」
「えっ?」

 ノータイムで返答すれば予想外の反応だったらしくスカリーくんは戸惑っていた。ただしばらくして蚊の鳴くような声で「どっちも……」と正直に白状したので、次のイタズラは紐パンにでもするか〜と私は脳内で予定を立てるのであった。

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