千年たっても忘れてあげない夜のはなし
「えーっと、やっぱ今日は急すぎたし、やめとこうか?」
「大丈夫です! 我輩なら大丈夫ですので!! さんがお嫌でなければやめたくないです、したいです!!!」
「めちゃくちゃ食い気味にくるじゃん……」
明らかに緊張しすぎて挙動不審になっているし、血の気が引いた顔をしている彼を見かねて提案すれば、即座に延期の申し出は突っぱねられた。
別に私はスカリーくんに対してチョロインなので、いつでも再決戦に持ち込めるんだけど。
でも頑固な彼のことだから、たぶん私が本気で嫌がるか、自分がキャパオーバーでぶっ倒れない限りは意地でも続けるんだろう。
ことの始まりはスカリーくんが私に土下座を決めたことである。
……というのはさすがに、はしょりすぎだな。
もうちょっと詳しく回想すると、スカリーくんが昨夜、私がドスケベなことになってる夢を見たらしい。で、同じくして私はスカリーくんといつものようにイチャイチャする夢を見ていて。
昼間ソファでいちゃついてる最中に『夢の中でも一緒に過ごせて嬉しかった』という感想と共にそのことを述べたところ、謎の罪悪感に駆られた彼が、フローリングへ下りて、土下座で私のドスケベ夢について謝罪しはじめた。
別に(清くない)ちゅー止まりとはいえど付き合ってるんだから、それは普通のことでは……?と私としては思うのだが。というか、付き合う前に事故だけど、私で自慰してますって暴露されてるしなあ。今更である。
とはいえ、ここで正論パンチはやりずらい。何故ならば結果的にスカリーくんにとっての黒歴史を掘り下げることになるので。
だから冗談っぽく流しとくかってことで「……スカリーくんのえっち」と満更でもない顔で言っといた。気絶された。
で、カーペットの上で膝枕(したら死ぬと聞いていたが、その後、私の膝を占領するグリムにヤキモチ事件を経て誤解は解けた)で起きるのを待った後に「明日も休みだし、今夜グリムいないから、してみる?」と提案したら、またスカリーくんは気を失っていた。今度は目を開けたままだった、無限ループかな?
その反応に時期尚早だったかなあ〜と思っていたのだけれど、こうしてお互いベッドの上で正座しているのだから、そういうことである。
「あーもう。スカリーくん、緊張しすぎて手すごく冷たくなってるよ」
「えっ、あっ」
ひとまずリラックスしてもらおう。そう考えた私はスカリーくんの手を取った。
指こそ細長いけど、しっかり男の人らしく骨張った手は汗ばみ冷え切ってしまっている。なんなら震えてるじゃないか。これはいけない。
ベッドの傍のテーブルからハンドクリームを手に取る。私と同じフローラルな香りになってしまうが我慢してもらおう。出したクリームを手で暖めてから、スカリーくんの手に塗り込んでいく。
それから、まずは手の甲。指先から腕に向かってゆっくりと強めにゴリゴリ押す、こうすることで血液が流れやすくなる。
次は指の間。恋人繋ぎをして、ぎゅっと握り込むようにマッサージすればOK。逆側からするのも忘れない。後は手のひら、指の付け根を一本ずつ丁寧に揉みほぐして。
血流が良くなったのだろう、スカリーくんの手はさっきまでの冷たさが嘘のようにぬくもっていた。見たか、私のハンドマッサージの威力を!
「これでよし、と。どう? ちょっとはリラックスできたかな……あ」
「…………申し訳ございません……」
ぽーっとしていた彼は私が気付いた途端、さっと手で下半身を隠す。やたら俊敏な動きだった。私から視線を逸らす彼は恍惚の表情から一転、ものすごく気まずげである。
まだ生乳も見せてないんだけどなあ。ちょっと手を触っただけでそんなに興奮しちゃうのか。恥ずかしがってる姿含めて可愛いなと思う。
とりあえず、ちゅーして空気を変えようかと考え始めた時、はたと過去のやりとりが頭をよぎった。もしかしてあれって。
「スカリーくん、もしかして、最初にあの女優さんの映画見た時とかハグした時も」
「ぁ゛あ゛ーーー!!! おやめください、おやめくださいませ!! 後生ですからあの数々の我輩の醜態は忘れて下さいませ!!!!!」
私の気付きに対して、しらばっくれるという発想はなかったのか。はたまた実は内心めっちゃ引きずってたのか。ちょっと突けば目に見えて取り乱すスカリーくん。
うっかりいじめすぎたかもしれない。顔を両手で押さえ悶えている彼に申し訳ない気持ちを覚えて。こうなったら私も恥を晒すか。生き恥一緒に晒せば怖くない(※効果には個人差があります)
ぷちぷちと首から胸元のボタンを外して、パジャマを上から脱ぎ捨てる。私が始めたストリップショーに彼は「ひぇ」と言いながら目を手で覆っていた。ただし指と指との間は大きく開いているので、しっかり見学している。
「……へー、スカリーくんってば見てるだけで満足できちゃうの?」
下着姿になったところでサービスタイム終了、これ以上自分で脱ぐ気はない。なのでひらひらと脱いだパジャマを振りながら、あからさまに煽れば、ごきゅとスカリーくんが大きく喉を鳴らす。
スカリーくんは挑発に乗るタイプじゃない。だから本当は可愛く言う方がいいのかもしれないけど、こっちの方が乗り気のが伝わるかなと。
キスが盛り上がったり時とか、一緒に観たロマンス映画で死亡フラグじゃない純愛ラブシーンが流れた時とか、これまでも何度もセックスになだれ込めるであろうタイミングはあった。
でもスカリーくんが今までキスだけで抑えてくれていたのは、私が過去の経験から性的な目で見られることに強い嫌悪感を覚えると知っていたからだろう。
あながち間違いでもない。どうでもいい奴や友達だと思っていた相手から見られるのは気分が悪い。だけど恋人である彼は唯一の例外なんだよなあ、むしろエロい目で見てくれなきゃ困る。
「……さん、あの、キスしても?」
「よかろう。くるしゅうない、ちこうよれ」
「ふふっ、ではお言葉に甘えて」
急に恥ずかしくなって、照れ隠しに全く面白くも整合性もないボケに走ってしまった。だがそれにスカリーくんは上品に笑って、私の顎を持ち上げる。ちょっとは緊張がほぐれたのなら滑った甲斐があったな。
目を閉じれば唇が重なる。ちゅっちゅっと何度もくり返される中、瞼の裏からでもガン見されてるのがわかった。
そう、スカリーくんは私とのキスの時に目を閉じてくれない。おかげで変な顔晒しちゃってるんじゃないかってキスする度ちょっと心配なんだけど……毎回ってことはスカリーくんが望んでやってることだから問題ないんだろう、たぶん。
キスしたまま、軽く口を開ければ彼の舌がぬるりと入り込む。普段ならスカリーくんの好きにさせるんだけど、今日はいつも彼にされているみたいに入ってきた舌を甘噛みする。
だが痛くないかなとモタモタしている間に絡み取られて形勢逆転。いつの間にか腰を支えるようにスカリーくんの手が添えられていて。あ、これダメになっちゃうまでするつもりなんだなと静かに悟る。
鼻で息するのにはだいぶ慣れてきたはずだけど、こうも激しくこられると上手にできない。わざと音を出すように吸われては出すつもりのない喘ぎしか出せなくて。
無意識のうちに手がスカリーくんへと縋っていたせいで、これでもかと胸を押しつけてしまっているのにスカリーくんは気にもとめずにキスを続ける。キスに夢中になりすぎてそれどころじゃないのか、だとしても全く意識されていないのはちょっと腹立つ。このナイスバディが目に入らぬか!!
いや、もしかして乳が当たるのなんか屁でもないぐらい慣れてる……? キス魔だし、やたらキス上手いし(比較対象いないけど)あり得るのでは?と私の中で疑惑が芽吹く。今もキスはがっついてきてるけど、私の髪を撫でるだけの余裕があるみたいだし。
映画だったらカットされてるだろう長さのキスだが、私がくたくたになる前に切り上げられる。いつもより遠慮されてると思ったけど、むしろ今からが文字通り本番だから容赦されたんだろう。
今のうちに息を整えようとしている間にもスカリーくんは首筋や鎖骨に唇を落としてくる。お、落ち着く暇がねぇ! それでもなんとかいくらか平静になった私は彼の頭をそっと退けた。そんな物足りなさそうな顔してもダメだから。
「下着、自分で外した方がいい? それともスカリーくん、脱がしたい?」
「脱がしたい、です」
「なるほど。スカリーくんも脱いでくれるならいいよ」
「あっ、はい! 少々お待ち下さいませ!」
バッと勢いよく、私と色違いのパジャマを脱ぎ始めるスカリーくん。そんな慌てなくても。
私達のパジャマがお揃いな理由だが、ずばりスカリーくんからのプレゼントだからだ。元々はデュースのお下がりの服(デザインが個性的すぎて外には着ていけない)を寝間着にしていたのだが、スカリーくんがそれにめちゃくちゃ嫉妬して、今後はこれにしてほしいと。
付き合って知ったのだが、スカリーくんはめちゃくちゃ独占欲が強かったりする。と言ってもヤキモチを焼いても、別に機嫌が悪くなるとか、行動を無理矢理制限してくるとかじゃないから全然いいんだけど。やたら甘えたり、お願いはしてくるけど可愛いものである。
そういえばパジャマ渡された時に「お揃いのパジャマって夫婦みたいだね」と言ったら、ものすごくにやけてたなあ。
と、色々回想している間にスカリーくんは私と同じく下着姿で正座待機していた。忠犬よろしく私の許可が下りるまで、下手に手を出すつもりはないのだろう。大胆なのか消極的なのか。でも今はとりあえず彼をパン一で放置するのが悪いことはわかる。
「じゃあホック外しにくいだろうから後ろ向くね」
「いえ、そのままで大丈夫です。なんとなくわかるので」
……やっぱり慣れてるのでは? 何かと反応が初々しいから、てっきり私と同じで未経験だと思ってたんだけど。認識を改めなければいけないかも。
申し出を断ったスカリーくんは私の背中に手を回してパチンと難なくホックを外す。下手したら女の私より早くないか、これ。え、あんなウブな反応してたのに、どこでそんなに経験を積んできたんだ……?
どんどん私の中で経験豊富なスカリーくん像が固まっていく。それはそのまま強固になっていくかと思いきや、初めて晒した私の胸に釘付けになっている彼の姿にちょっとだけ和らいだ。
「あっ、申し訳ございません! 我輩、不躾に……」
「いいよ。見るのも、好きに触るのも。スカリーくんなら嬉しいから」
サッと視線を逸らした彼に胸を隠したりはせず、ドキドキしながら次を促す。それに再びスカリーくんが唾を飲み込んで。
見られて恥ずかしくない体になるよう頑張ってきたけど、まさか誰かに見せたいと思う日が来るなんて、昔の私はきっと信じられないだろうな。
「おっぱい見せてよ、俺達友達なんだからいいだろ」と小学生の時から仲の良かった男子に言われて、もちろん見せなかったし以後ずっとそのクソについては無視したけど、耐えられるとはいえそんな目で見られるの嫌だなってずっと思ってきたから。
でもスカリーくんには見てほしい。夢中になってほしい。そう心から願ってる。
また唇が合わせられる。邪魔になっちゃうかなと不安になりつつも、背中に腕を回して抱きついた。
「綺麗です、すごく」
彼の唇か、私の腕か、どちらともなく離れた後、スカリーくんが愛おしそうに私を見ながらそう告げる。
いつもの私ならそりゃ自慢の体だからね!とドヤ顔を決めていただろうが、あまりにも真摯な声色にただただ照れてしまい、小さく「……ありがと」と言うのが精一杯だった。
なんか空気に飲まれて自分が自分じゃないみたいで変な感じ。でもこの私はスカリーくんだけが引き出せる私なんだろう。
「えっと、では、その失礼します……」
声がけして、スカリーくんがおそるおそる胸に触れる。ちょっと指が沈んだ後、彼は「はゎ」って驚いていた。でも離れる事はなく、そのまま弾力を確かめるように指先に力を込めたり抜いていたりしてた。まるで豆腐を相手にしているかのような力加減なので、たいへんくすぐったい。
たぶん本人は自覚がないんだろうけど「ふわふわ……」「あったかい……」「すごい……」とか語彙力が溶けた感想が声に漏れている。ひとまずお気に召してもらえたようなので何より。
下から持ち上げるようにたぷたぷ、ふにふにとしばらく私の胸を堪能していたスカリーくんだけど、外側から内側に向かうように優しく揉んできた。
その手付きに思わず、びくっとしてしまい、スカリーくんが慌てて手を離した。
「あ、申し訳ございません! 痛かったですか……?」
「いや、なんか、どう説明したらいいのかわからないけど、びっくりして」
なので続けて大丈夫だと返せば心配された後、痛かったら遠慮なく言ってほしいとスカリーくんは気遣ってくれる。
でも本当に気にしないでほしい。胸って感じるのか……と驚いたのと、反省してるだけだから。
元の世界にいた時、胸の大きい人向けの下着屋さんで他のお客さん達が「私らへの愛撫と言えば鷲掴みか、ねじくりまわすか、乳首をちゅっぱちゅっぱ舐められるだけだよね」「わかるー」と愚痴っているのを聞いてたり、最近それを思い出してその通り自分で触って痛えッ!ってなったり、そういうのがあったので。
スカリーくんも普通の男子高生だし、私おっぱいでかいし、そういう触られ方するかなと覚悟していたのに。その時は「乳って握られたら殺したくなるぐらい痛いんやぞ」って一から説明するぐらいの気持ちで意気込んでいたから。
だから、今みたいに私の顔や反応をしっかり確認されながら、気持ちいいだけの触り方されるなんて、考えてもなかったのだ。
スカリーくんなら酷いことされても許せるなって考え自体が失礼だった。性欲を向けられているとしても、今までと違うじゃないか。なんでこんな簡単なこともわかってなかったんだろう。私を傷つけた相手に怒ってくれて、私を傷つけたかもと泣いてしまう彼が、私が偏見を抱いていたような自分勝手なセックスをするはずがないんだって。
背が高いからか、スカリーくんって手も大きいな。細長いけど女の私よりは太い指、この手に私は全部ゆだねちゃうんだ。手のひらからはみ出た胸にスカリーくんの指が食い込んでいるのを見て、ぞくぞくと背を震わせる。
胸を揉むのを続けたまま、谷間にスカリーくんが顔を埋めて。ちくと小さな痛みが走る、それから口を離した場所には赤い跡が残っていた。膨らみに唇を寄せるのを何度もくり返す。でもまた付けるのかと思っていれば、ただキスするだけだったり。
たっぷり膨らみで焦らされたのち、すりすりと乳輪を撫でられる。これも気持ちいいけど足りない。自分でやっても気持ちよくなれたことなんかないのに、むしろよく漫画とかで見るみたいに刺激したら痛かったのに、ちゃんと乳首を触ってほしいと考えてしまう。だってスカリーくんは絶対に気持ちよくしてくれる、はず、だから。
でも、そうやってすごく悶々してるのに、スカリーくんはいつまで経っても乳輪を弄るばっかりで肝心なところには手出ししてくれない。
「……スカリーくん、ちゃんと触ってくれないのやだ」
「ん゛ん゛ッ、すみません、触ります、いっぱい触ります……!」
ねだった私が言うのもなんだけど、そんなにエンジンかけなくても。内心で何度目かわからないツッコミを入れてたら、キスされながら乳首に指を滑らすかのよう撫でられる。
その微かな刺激が想像していたよりも気持ちよくて、頭がふわふわしてくる。
胸を揉むのと一緒に優しく乳首を捏ねられて、ついくぐもった喘ぎをこぼした。指を離したと思えば、すぐさまスカリーくんの口に含まれる。熱い舌先でつつかれて、丁寧に舐められて。吸われるのも全部気持ちいい。
胸への愛撫を終えたスカリーくんが覆い被さってくる。それにより、自然と私の体がベッドへと沈んで。
おなかにちゅっちゅっと彼が唇を落とす。スカリーくんが色んなところにキスするのは今に始まったことじゃなくて、その関係でキスする場所にはそれぞれ意味があることを知った。
おなかは確か『回帰』で。甘えたいとか癒やしがほしいとか他にも色んな心理が隠れてるとか、なんとか。
なので何となくスカリーくんの頭を撫でてみる。突然の事に彼はちょっと驚いていたけども、嬉しそうに微笑んでいた。こんな時になんだけど、かわいい。
「さん、あの、下も触れてよろしいですか……?」
「ん……いいよ」
するするとショーツを脱がされる。これ、けっこう恥ずかしいな。邪魔になってしまうのはわかっていたけど、ぴたりと足を閉じる。
私の抵抗とも言えない、ちょっとした羞恥心にスカリーくんは本気で困った顔をしている。たぶん嫌がられてると取ったんだろう。完全にフリーズしてしまった。いやいや、さすがにここまで来てやめろなんて言わないよ。
強引にいけない彼を見かねて少しだけ足を左右に開く。途端にパッと明るい表情になるスカリーくん、やっぱり可愛いな私の恋人。
「ひゃっ」
軽々足を持ち上げられて、太ももにキスされた。幾度か唇を寄せたなら満足したのか、足は下ろされて。でも閉じられないように大きな手で広げられた状態で固定されてしまった。
再び太ももへ落とした唇は徐々に内側へと向かっていって、秘部へスカリーくんが顔を埋める。え、そんなとこにもキスするの?
自らの唇を舐めた後、スカリーくんは触れるだけのキスのように濡れた唇を秘部やその周囲へ押し当ててくる。続けて唇で挟むように甘噛みされて。
ひどく恥ずかしいけども、唇のやわらかさは思っていた以上に気持ちいいものだった。じわじわと体から余計な力が抜けて、素直に快感を拾っていく。
これまでの愛撫ですっかり濡れているだろう場所へスカリーくんが舌を這わす。とんでもないことされてる。でも強く舐められたり、緩くなぞったりと緩急を付けた動きはあまりに刺激的で、恥じらいはあっけなくとろけていく。
陰核を吸われて、思わずびくんと体が弾んだ。吸う力自体は優しかったのに襲ってくる快感は攻撃的なまでに強くて。だけどスカリーくんは重点的に陰核を責めてくる。与えられる快楽に思わずシーツを強く握り込んだ。
おなかの奥が熱い。溢れてきた愛液を押し込むようにスカリーくんが中へと舌を差し込む。にゅるにゅると抜き差しされて、気持ちよすぎるのが怖くなっても彼の手にガッチリ押さえ込まれて逃げようがない。
ひときわ大きな快感に飲まれて、頭の中が真っ白になる。これがイくって感覚なのかと浸る間もなく、スカリーくんが更に責め立ててくるからすぐにまた上り詰める。喘ぐばっかりで、やだの一言も口にできず、その後も何度も追い込まれて。
顔と動作と性格は最高に可愛いけどセックス全然可愛くねえ!! 処女相手に連続絶頂を決めるとか加減しろバカ!!! そう怒鳴りたいけど、はぁーはぁーと足りなくなった酸素を取り込みながら、彼を睨め付けるのが関の山だった。
しかも残念ながら興奮しすぎてるスカリーくんは全く効いてないし、なんなら私が睨んでることにも気付いてなさそうである。君、ぐるぐるおめめで、そんなギラついた表情するんだね……。高笑いされてないだけマシなのかもしれない。
「さん、指、入れますね」
まだ快感の余韻は抜けきってない。息絶え絶えになってたせいで、待っても言えなかった。とろとろにされた中はにゅぷと簡単にスカリーくんの指を受け入れてしまう。
スカリーくんとのセックスを想像して予行練習がてら指を入れてみようとしたことはある、でもこんな風にはならなかった。というか、全く濡れてなかったから指先すら入らなかった。
すぐに断念しても残った引きつったような痛みに、思い出した体格差が加わって『スカリーくんとする時、私死ぬかもしれない……』と内心、本気でビビっていたのに。自分のより太い指をなんなく銜え込んでるのが信じられなかった。
おなかの方に向かって曲げられた指がざらついた部分を撫で回す。全然激しい動きじゃないのに、頭がおかしくなりそうなぐらい強い快感が襲ってくる。
いつの間にか増やされた指と共に中を広げるようにかき混ぜられて、ぐぽぐぽとはしたない音が絶えず響く。
もうイきたくないのに。下腹部にぎゅうっと力が入って、ふっと弛緩する。それでもスカリーくんの指はやっぱり止まらない。陰核を捏ねながら、中もいっぱい擦られて。限界まで与えられた快感に気が狂いそうだ。
「さん、さんっ、かわいい……♡ 好きです、さん、愛しております……♡」
この、めろめろとばかりの声色と表情がなかったら、蹴り飛ばしてでも死に物狂いで逃げるんだけどなぁ……。
愛撫自体はめちゃくちゃ優しいものの一周回って紳士何処行った状態で正直キツいが、こんなにも好き好きオーラを全面に出されてしまうと抵抗する気も失せる。元々好きでこうなってるわけだし、私が誘ったのも多少影響してるだろうしね。
ちょっと火に油どころかガソリンかもと悩みつつも「私も好き」と口にすれば、ぶちゅーっと深く口付けられた。
指が抜かれて、かわりにキスがこれでもかと振ってくる。じゃれかたが大型のわんこだ、これ。ちゅっちゅっちゅっちゅっとBGMになりそうな勢いでくり返されるキスに、次第に冷静になってきた私はこのタイミングで気になっていたことをはっきりさせておくことにした。
さっきまでのプレイを通して、これまでの私への態度を加味するとこれしかないかな〜という答えが見つかったので。
でもこのままだと喋れないので、隙を見て彼の顔面にほぼアイアンクローらしきものを決めて中断する。いきなりのバイオレンスにスカリーくんは戸惑っていたが、私の「スカリーくん」の呼び声にただならぬ気配を察したらしい。彼の顔を掴むのを止めて起き上がった私に、彼は姿勢を正して正座していた。
すぐ傍に脱ぎ捨ててあったスカリーくんのパジャマを拾って、お気持ち程度だが体を隠す。もう既にとんでもないところまで見られた後だけれど全裸のまま語り合えるほど恥じらいを捨ててはいなかった。
というか、脱いだり脱がされたりした私の服はちゃんと綺麗に端に纏めてくれてるのに、自分の服は扱いが雑なのちょっと意外だったな。
膝をつき合わせて話合う為の体勢は整った。ということでさっさとぶっ込むとしよう。
「スカリーくん、初めてって言ってたけど本命童貞なだけで経験豊富だったりする?」
「えっ」
「別に付き合う前のことだったら文句は言わないから、嫉妬はめちゃくちゃするけど」
「え、え? いや、我輩……その、正真正銘の童貞ですが……何故そのような誤解が……?」
疑惑の眼差し一辺倒な私にスカリーくんは本気で困惑していた。それにしてはえっちがうますぎる、と若干キレ気味に言う私にスカリーくんはなおさら混乱しているようで。
ただ思い当たる節があったのか。ハッとした顔をした後、スカリーくんはだらだらと汗をかきながら明後日の方向へと視線を泳がせている。
「私が本気で怒るとしたら私と付き合った後に、他の女の子とナイトパーティ(意味深)でハッスルしたってぐらいだけど。私に怒られるようなことした?」
「誓って不貞はしておりません!! でも、あの、予行練習を」
「あ゛?」
「脳内のさんとしておりました!!!」
ヤったのか、私以外の女と……と思わず威圧的に唸ってしまったとほぼ同時にスカリーくんが叫ぶ。
その後、始まった弁明を聞くに、例の私とスリーサイズが一緒の女優さんが性行為の指南動画を出しており、それを見て勉強していたらしい。女性視点かつ私と同じ体型だからすごい参考になっただろう。で、脳内の私といっぱい想像したと。そういえば自慰宣言させられた時にもう聞いてたな……。
あとブラを外すのがスムーズだった件に関しては、似たようなホック式のズボンがあったのでそれを抱き枕に着せて練習していたんだとか。女性の下着、特にさんのようにスタイルが良い方のものは特にデリケートらしいので痛めないようにしたくて……と、恥じらいながら告げるスカリーくんに、やべえことしちまったと今度は私が冷や汗を垂らすことになった。
さすがに萎えてしまっただろうか。そう心配になったけど、彼の下着は依然としてテントを張ったまま。だからといって安心はできない。だって逆にそんな状態なのに我慢させたり、色々台無しにしたってことなので。
「……スカリーくん、ごめんね。ムードぶち壊すような真似して」
「いえ、さんが不安に感じたのであれば、それは無視するべきではないかと」
スカリーくんが私の手を自分の両手で包む。結果として体を隠していたパジャマを保てなくなり、胸が露わになるけれども気にならなかった。彼はまっすぐ私の目を見つめていたから。
「先程、強引に押し進めてしまった我輩が言っても説得力がないかもしれませんが……我輩はさんを傷つけたくないです。そしてこの行為はどうしてもさんに負担をかけます。だからさんが望まぬなら仰ってください」
「……私が誘ったのに、私が嫌だって言ったらやめていいの?」
「はい。さんの恐怖は蔑ろにすべきものじゃありませんから」
彼の言葉に嘘偽りはないのだろう。ここまで許しておいていきなり生殺ししても、間違いなくスカリーくんは怒らない。私の意志を尊重して速やかに手を引くのだ。
だとしても。スポンと彼の手のひらから両手を抜く。真面目な雰囲気には似つかない私の奇行にスカリーくんはポカンとしている。で、彼とは対照的にきっと私は真顔なのだろう。スンッてなってるって自分でもわかるもん。
「でもここでおあずけしたら、また脳内の私と続きするんだよね」
「え、あの、それは……どうかお許しいただけませんか……」
「やだ、だめ、許さない」
「そんな! どうか後生ですか、んむっ」
ぐっと彼の両頬を手で抑えて、思いっきり唇を押しつける。もはや噛みつきといってもいいほど、勢いだけのテクもムードもへったくれもないキスにスカリーくんは頭上にハテナマークを発生させていることだろう。
ぷはっと唇を離した時、ぐるぐるとスカリーくんは目を回していた。
「やだ。脳内の私ばっかりずるい、私だってスカリーくんにそういうことされたいのに」
「へあ……」
「イマジナリーだろうが、私、今すごい妬いてるからね。その子にしてきたこと、全部私にして」
なかばヤケクソ状態のおねだりを終えて、私は自らベッドへと横たわった。まるでワンちゃんの服従のポーズみたいだと思いながら、手で隠したりはせず、ただ彼の行動を待つ。
フリーズは解除されたらしい。覆い被さってきたスカリーくんが深く私に口付けた。
口を合わせたまま、さっきいっぱい慣らした場所へと彼が指を滑らせる。私からは見えないけれど、その代わりとばかりに濡れた音が鼓膜をくすぐった。
くぽくぽと緩く指先で浅い所を何度か刺激し終えた後、指を抜いたスカリーくんが身を起こす。
私はさっぱり頭になかったが、彼はしっかり準備してくれていたらしい。初めて見た彼の男性器は頼むまでもなく、避妊具を身に付けていて。
……大きすぎない? いや誰のも見た事ないんだけど、さっきまでの下着の膨らみの時点で何となくわかってたけど、それにしたって。たぶん、私のおへそぐらいあった気がする。あんな凶悪なの入るの……? 私死ぬのでは……? 最近見た映画の腸が飛び散るタイプのスプラッター描写を思い出して全身から冷や汗が吹き出る。
「あの、さん、大丈夫ですか……?」
内心おののいているのが透けて見えたのだろう。スカリーくんが心配そうに私に尋ねてくる。したくてしょうがないだろうに、どこまでも私を優先してくれる彼の優しさに胸が温かくなる。
大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、だいじょうばないのだけども。やめたくない。それにスカリーくんなら、痛くても、それすらも嬉しく思うんだろうなと思えたから。
きてほしい、と蚊の鳴くような声でねだる。それを合図にぬかるみにスカリーくんが熱を擦り付けて。ちゅぷ、と先端が押しつけられた。
ぬぐ、と熱い塊が埋め込まれて、ゆっくりと中が割り開かれていく。彼が体重をかける度、入り込んでくる圧倒的な質量に息が上手くできない。私の体を丸ごと覆うように被さってくる彼の背に縋り付く。
進み続けていた熱が、スカリーくんの指でも届かなかった、誰も触れたことのない場所に辿り着いて動きを止める。
全部、入った? おそるおそる下腹部を見る。残念ながら体勢のせいで繋がっている所は全く見えなかった。けども、お互いの下生えがぴたりとくっついている感触から、きっとそういうことなんだろう。
詰めていた息をめいっぱい吐き出す。少しだけ痛い。ちょっとだけ苦しい。でもやっぱりそれ以上に嬉しかった。
「さん、」
ぽろっと、スカリーくんの目から涙が落ちる。どうやら感極まってしまったらしい。すきです、と呟いた彼は涙ぐんだまま。
悲しみからではないとわかっていたけれど、泣いてるスカリーくんを見ていられず頭を胸へと引き寄せる。私がこうすることで喜ばぬ男はいなかった、いや今までしたことないからわからないけど。でも彼女にふかふかのおっぱいを押し当てられるのが嫌いな男はそういないと思うし。
驚きのせいかもしれないけど、スカリーくんの涙は一瞬で引っ込んだみたいだった。あと耳まで真っ赤になっている。それと中の熱がちょっと大きくなった、ような。え、まだ大きくなるの、こわ……
スカリーくんのスカリーくんのポテンシャルに若干怯えながらも、彼の頭をよしよしと撫でる。甘えてくる時にこうされるの好きみたいだから。すり、と少し胸に甘えた後、スカリーくんが頭を上げる。
「……すみません。さんに辛い思いさせてるのに、我輩、とても嬉しくて、」
「謝っちゃやだ。私だって同じだから。ずっとスカリーくんとこうしたかった」
少しだけ潤んだまま見つめてくる彼の目は私が好きだと訴えかけてくる。そして、そっと唇が触れる。何度でも彼とのキスは心地よくて、幸せだと思えた。
しばらくじっとしてくれていたおかげで、彼の熱が中に馴染んできたみたい。痛みの奥に微かな快感があることに気付くぐらいには。
このままじゃスカリーくんは辛いだけだろう。だから私を一心に見つめてる彼へ「もう動いて大丈夫だよ」と続きを促した。
それに彼は私に口付けて、ゆっくりと律動を始める。ずるりと抜けて、奥にもぐりこんで。内壁が擦れるたびに甘い痺れが体中を巡る。私の呼吸に合わせるように揺さぶられて、開きっぱなしの口からは嬌声がこぼれるばかり。
すっかりスカリーくんの形になった中は媚びるように絡みついている。私、さっきまで処女だったのに。ずっと小さな絶頂に襲われ続けてる。
自分の体のことなのに全然制御できなくて、今まで知らなかった快感から逃げようと勝手に腰が浮く。でもスカリーくんがそれを咎めるように腰を掴んできて仰け反るのを阻止されてしまった。
スカリーくんがすりすりと私のおなかを撫でる。まるで中の存在を指し示すようなその動作についぎゅうと締め付けて。そんな私を眺める彼の瞳はいっそう欲情を蕩かせていた。
中を抉る角度を変えて、特に弱い所を重点的に擦られる。初体験なのに、こんな気持ちいいなんておかしい。頭の中がぐちゃぐちゃになってるのに、それでもこの今が強く脳内に焼き付いていく。いつかゴーストになったって、きっとこの夜を私は忘れられないんだろう。
突き上げられるだけでも充分過ぎるくらい気持ちいいのに、腰の動きはそのままにスカリーくんは胸や陰核をいじる。おかげで私から溢れる液体が増して、彼の律動を手伝うから速くなっていって。
キスしたまま最奥をこじ開けられて、爪先から頭の先へと電流が走る。ひときわ深い絶頂に浸る最中で、彼の熱が大きく膨らみ爆ぜた。ぐいぐいと腰を押しつけられ、薄い膜越しに彼が奥に注ぎ込もうとしているのが伝わってくる。あとイった直後なので、その微かな動きにすら過敏に反応してしまうのがすごく恥ずかしい。
それをごまかすように彼の体に顔を押しつけて、まもなく私は体力の限界を迎えて、ふっと意識を飛ばしたのだった。
◇
次に目を覚ました時、私はスカリーくんに腕枕かつ抱きかかえられた状態だった。
洗浄魔法でも使ってくれたのか。肌のベタつきは一切なく、下着含めパジャマもしっかり着せてくれていて。ただスカリーくんは下はわからないけども、少なくとも上半身はすっぽんぽんである。
スカリーくんも初めてのことで自分の分にまで回せる余裕がなかったのかもしれないけど。自分のことになるとわりと大雑把なところあるよね。
すやすやと無防備な寝顔が目の前に晒されている。なのでとりあえずちゅーしてみた。ならば目を閉じたままだというのに、じわじわと彼の肌が赤くなっていく。
「狸寝なんて紳士的じゃないなあ、スカリーくん」
「すみません、起きるタイミングがわからなくて……」
「えーホントでござるかー? 私にちゅーされるかもって期待してたんじゃなくて?」
「……ごめんなさい、その通りです……」
図星なんかーい。ちょっとジョークで言ってみただけなんだけども。
当てる気は一応なかった私の指摘に両手で顔を隠すようにしてスカリーくんは照れていた。もっと恥ずかしいことさっきまでしてたのに、これでも恥ずかしがるんだ。
「嘘吐かれて悲しいなー、許せないなー」
かつて本の中でグリムと一緒にすっとぼけた時のようにふざけてみる。彼のことだから、あの時のようにちゅーを仕掛けてくるかなと思いきや、我輩にできることならなんでもします……!と謎の覚悟を決めていた。
前にも思ったけどそのセリフ、私以外のNRC生の前では絶対言っちゃダメだよ。あの時はともかく、基本的には言った瞬間に人権失うことになるぞ。
まあ、それについては後でちゃんと言い聞かせるとして。ぎゅっとスカリーくんに抱きつく。もっとすごいことした直後なのに彼の心音が速くなるのがわかった。
「じゃあ妄想の私にした以上にいっぱいちゅーして」
「えっ」
「本当は私がされる分だったんでしょ。それにさっきも言った通り、私、めちゃくちゃ嫉妬深いから」
ね?と、ちょっとあざといかなと思いつつ、いちゃいちゃしたいことを伝える。こきゅ、とスカリーくんの喉が鳴る。あれ、もしかして予想以上に効果バツグンだった?
隠しきれない興奮を浮かべた彼にまもなく唇を深く覆われる。あむあむと食むようなキスは健全とは言いがたくて、なんならまた始まってしまうそうな勢いである。
でもそうなってしまっても「スカリーくんのえっち」って軽くからかいはするけど。既に彼の背中へと腕を回したのが答えということで。