なんでもするって言ったので

「イデアさん、ちょっくらオナホコキさせてください」
「準備万端じゃん……」

 いざ尋常に勝負(性的な意味で)の直前にストップをかけ、ベッドの下から取り出したオナホとローションボトルをドン!ドン!と目の前に設置する私に複雑な表情を浮かべるイデアさん。
 そりゃ久々の新婚タイム(ここしばらくイデアさんが仕事で缶詰状態だった為)にこんなのを持ち込まれたら、そんな顔にもなるだろう。

「まあちゃんがやりたいなら、別にいいけど……」

 だが一度懐に入れた相手にゲロ甘な彼が、可愛い妻である私からのお願いを断ることはない。私の旦那様は頼られたり甘えられるの好きなのだ。約束された勝利である。
 なんなら既に乳首舐めの許可をもぎ取った実績があるから、何も心配してなかったよね。

「というかコレどうしたの、買ってきたの? 資料じゃないの?」
「先日、私、出版社のパーティ行ったじゃないですか。その時のビンゴ大会で当たっちゃったんですよ。次書くのはパニックホラーなのでオナホは……いや待てよ」
「その思いついたネタ、今は言わないでね。ヒュンッてしそうだし」

 NRCの卒業式にて迎えに来たイデアさんのプロポーズを受け、私はシュラウド家に嫁いだ。
 イデアさんとは一年の頃から付き合っていたし、私の職業についても理解があり、彼のご家族との仲も良好。断る理由が無かった。あとさ、『冥府の番人の妻』って肩書きになんかオタク心くすぐられちゃったよね。
 私は諸事情により、行き来はできるものの元の世界では暮らせず、ツイステッドワンダーランドに永住することが、イデアさんと付き合う前に決まって。
 その為の生活基盤を確保するために学業の傍ら、小説家として活動していた。イデアさんはそのファン一号である。
 結婚してからも、彼と暮らすこの嘆きの島の屋敷で仕事を続けている。基本的に島から出られないが、ネット環境が他の地域と比べて格段に強く編集との打ち合わせはリモートで済ませられるのでさして支障はない。
 ちゃんと事前に相談しとけば先日みたいなパーティとかも行かせてもらえるしね。イデアさん的には本当はめっちゃ嫌だけど、所長代理を務めるうちにそういった付き合いも必要なのだと理解した結果とのこと。
 ただし可能な限り付き添おうとするし、一緒に行けない時はえげつない警護システム設定されるんだけどね。サイン会で私にしつこく迫ったファンもどきがどこからともなく現れた警護ロボ達によって一瞬でボロボロになったのは記憶に新しい。
 うーん愛が重い。毎朝のオルトくんによるヘルスチェックといい、過保護なんだよなあ。でも私も先輩の立場なら同じ事してるから異論はないな! ヨシ!

「じゃあ許可もいただけたことなので早速。はーい、ぬぎぬぎしましょうね♡」
「切り替えが早すぎる」
「そう言うイデアさんも、もう元気いっぱいじゃないですか」

 ぺぺっとイデアさんの下半身の装備を全て外せば、反り立ったタルタロスタワー()が飛び出てくる。場合によっては大きくする作業も検討していたが、これなら必要はなさそうだ。
 こっちもおりこうさんだね、ヨシヨシと撫でるように指を動かせばぴくぴく動く様がなんだか愛らしい。サイズとか形は全くもって可愛くないんだけども。
 ローションを手に出して体温を移すようにぬっちょぬっちょと捏ねまくる。別にローションは必須ではないんだけど使った方が格段に気持ちいいらしい。満足度を上げる為にも手は抜けない。抜くのはイデアさんのイデアさんだけだ。
 私の熱ですっかりぬるくなったローションを、ご立派なそれ全体に惜しみなく塗りつけていく。この時点で気持ちいいのか、イデアさんの太ももがプルプル震えていた。

「じゃあ入れていきますね。ゆっくり優しくと早くて激しいの、どっちがいいですか?」
「ひと思いに、ひと思いにやってくだされ……」
「んー、じゃあ、ゆっくりしますね♡ 逃げちゃダメですよ♡」
「ヒンッ」

 悲鳴みたいな声をイデアさんはあげるけれど、私は知っている。イデアさん的には満更でもないってことを。期待の滲んだ瞳に私は笑顔を返す。
 イデアさんはわりとマゾ気質だったりする。ただサドとマゾは紙一重とはよく言ったもので、私に意地悪するのもされるのも楽しめるというハイブリッドと言った方が正しい。
 なおこのことについては普段のプレイ傾向からイデア先輩って好きな子はいじめたいタイプなのかな〜と思ってた矢先、私が初めて書いた官能小説、M男向けの女攻めエロを愛読していたことで発覚した。
 ちゃん、こういうことしたいの?とか責任転嫁というか私の性癖で押し通そうとしていたが、あの時既にソワソワしてたんだよなあ。懐かしい。
 ちなみにあの内容になった理由だが、出版社の意向ということにしている。けれど実際は私の趣味の割合が大きい。つまり私がイデアさんにやりたかったことなので、実はイデアさんの推測は何も間違ってなかったりする。てへぺろ。

「ぅ、うう、う……♡」

 イデアさんの先っぽとオナホの入り口を擦り合わせれば、ぬちゃぬちゃと粘っこい音が立つ。先端が入り込んだかと思えば抜かれる、そんな焦らす動きにイデアさんはもどかしそうにしている。

「ああああッ♡ ゆっくりって言ってたのに、ひぅっ♡」
「ひと思いにしてほしいって言ったのはイデアさんじゃないですか」
「そうじゃ、なくてえ……! あ、ひっ♡」
「ええ、わかってますよ。もう長い付き合いですから。本当はゆっくりされたって……だからです♡」

 しばらくすれば、亀頭だけの快感に慣れてきたのだろう。油断し始めているのが見えたので、そのタイミングで一気に全部飲み込ませた。
 唐突にやってきた強烈な快楽に目を剥いて喘ぐイデアさん。ただそれは刺激だけではなく、裏の裏を読まれたことも影響しているんだろう。
 彼は私に甘いけれどその実、私を満足させる形で己にとっても都合の良い方向へ誘導する。たぶんチェスとかTRPGのGMやっているうちに、そこらへんの力は鍛えられたんだろうなあ。心理学とか囓ってるのも大きいか。
 私のおつむは残念ながら彼と比べてスペックがたいへん劣るので、おかげで最初の頃はしてやられてばかりだった。でも今ではこの通り! たまになら彼のペースを崩せるようになった……んだと思いたいんだけどなあ。
 いやーもしかしたらイデアさんからするとコレも織り込み済、私の気分をよくする為のシナリオの可能性もあるので何とも言えない。相手は賢さカンスト野郎なので……。

「いっぱいごしごし♡していきますね♡」
「はひっ♡ そこは『いっぱいしこしこぴゅっぴゅっしましょうね♡』にして……!」
「えっ、えーっと、いっぱいしこしこぴゅっぴゅっしましょうね……?」
「ひええっ♡」

 本格的に責めるかと思って握りしめたところで台詞にリクエストが入る。かなり棒読みだったと思うが、イデアさん的にクリーンヒットだったらしい。興奮した様子でさっきよりも荒い息をこぼしていた。無敵か?
 さっきのやりとりができるなんて、ヒンヒン鳴いてるのはあくまでも盛り上げるためのフリで、実はこの人かなり余裕があるのでは……? は訝しんだ。
 あとイデアさんの場合、ぴゅっぴゅっなんてかわいいものじゃないと思うけどな……。実際音聞こえてるわけじゃないからわからないけど、もっと勢いとか量的に。まあそれはひとまず置いといて。

「気持ちいいですか……気持ちいいですよね?」
「んあ゛っ♡ ぁああっ♡ はひっ♡」
「お返事もできないぐらい気持ちいい、と。ならよかったです」

 ひっひっ、と引きつったように喘ぐイデアさん。ぐっぽ、ぎゅっぽと上下に扱くたびにいかにも搾り取ってます的な音が鳴り響く。オナホに対して入りきらなかった竿の部分に泡立ったローションが纏わり付いていた。
 透明タイプだから中の様子が丸見えで、とってもえっちだなと思う。イデアさんがたまにえっちしてる時に私のおなかへ透視魔法をかける気持ちがちょっとわかった。そもそもえっちな作品見てる時に断面図あったら嬉しいもんな。

「腰揺れちゃってますね。この先っぽのでこぼこがカリに引っかかるのがいいんですか、それとも疑似子宮口が先端に吸い付く方ですかね?」
「んっ♡ んっ♡ ん゛ぅうう〜〜♡」
「中でいっぱいビクビクしてますね。いいんですよ、イって。ほら、我慢せず気持ちよくなっちゃいましょ♡」
「あッ、イ゛く! あ゛っ♡ アッ♡ イ゛ッ♡ 、ち゛ゃ♡ うう゛ぅ〜〜〜♡♡」

 オナホ越しでもわかるぐらい中のものが跳ねあがる。そして、どぷどぷと勢いよく奥にイデアさんの白い体液が吐き出されていった。思った通り、ぴゅっぴゅっなんてかわいいものじゃない。
 いっぱい奥に溜まってるけど、これって洗ったら再利用できるのかな。いざとなったらイデアさんに洗浄魔法かけてもらうか。別に新しいの買ってもいいんだけどね。捨てるにしてもイデアさんの遺伝子を流出させるのは色々と問題がありそうなんだよなあ。
 じゅぽんっと引き抜けば、その衝撃も快感だったのだろう。びくんっとイデアさんの体が跳ねる。一拍置いて、どろりと精液がオナホから垂れていった。

「はーッ♡ はぁーっ……♡」
「いっぱい出ましたね、えらいえらい♡」

 中から零れないようにオナホを逆さにしてサイドテーブルに置く。ついでにウェットティッシュも何枚か取っておいた。
 イデアさんの体に落ちていた精液を拭いて、萎えたそれも綺麗にする。……しまうのに困るので大きくしないでほしい。下着ごとズボンを無理矢理引き上げる。チャックじゃなかっただけラッキーってことにしよう。
 後始末もほどほどにイデアさんの頭を胸元に引き寄せて、よしよしと彼の髪を撫でる。そんな中、ちゃんと私を呼ぶイデアさん。その声色は色気を帯びていて。
 息を整え腕から抜け出した彼は私の肩をガッと力強く掴む。ニターッと独特の笑顔を浮かべた彼はギラギラと欲望に溢れた瞳で私を射貫いていた。

「フヒヒ、今度は拙者のターンですぞ、ちゃん♡」
「ダメです」
「うぉおおいッ!? ここは拙者が逆襲する流れでは?!」

 あっダメ♡ではなく、食い気味真顔のノーサンキューにガチで断られてるとわかったのだろう。イデアさんらしかぬ大声で叫び倒すが断固拒否。
 なんでぇと眉をへにょらせる姿はたいへん可愛いし、母性本能をくすぐられるがダメなもんはダメだ。

「そもそも今回の件はせっかく貰ったから使わないともったいないっていうのもあるんですが、そもそもしばらく私お相手できないのでこれで発散してもらおうかなと」
「えっ、もしかしてちゃん、そんなに〆切りヤバイの? また担当に穴埋め短編書いてって泣きつかれた? 今度こそ逃げたバカ[[rb:警備ロボに捕まえさせて書ききるまで監視ロボと缶詰ルーム閉じ込め > わからせ]]ようか?」
「そんなこともありましたね。例の作家さんなら、あの時の追いかけっこがトラウマになったらしくて、すっかり大人しくなったので大丈夫ですよ」
「じゃあ体調悪いの? オルトのヘルスチェックには何も引っかからなかったけど……もしかしてもう拙者とそういうことしたくない……?」
「イデアさんとイチャイチャしたいのはやまやまなんですが、赤ちゃんできたので」
「そっか、赤ちゃんが……オ゛ア゛ッ?!」

 尻尾を踏まれた時のルチウスと同じような鳴き声をあげてイデアさんが硬直する。だいぶ混乱しているのだろう、彼の黄色がぐるんぐるんと激しく回っている。
 困っているわけじゃないと思う。パニックにこそなっているが彼の口角は上がりっぱなし。あと結婚してからこの前シた時まで毎回毎回孕め♡孕め♡って言ってたぐらいだ。若干プレイも入ってるだろうが、結婚前から子供は二人は欲しいと宣言してたしね。
 あっ、泣いた。

「うっ、嬉しい、う゛れ゛し゛い゛!! ありがとう、ちゃん……」

 顔をべしょべしょにしながらぎゅーっと抱きしめてくるイデアさん。抱きしめ返して、こんなにも喜んでくれた幸福感に浸る。
 お義母さん達はどんな反応するんだろうか。うーん、オルトくんみたいにおめでとう!って喜んでくれるだけならいいんだけども。普段の私の可愛がられようから産まれる前から大量のオモチャ買って……いや作り出しそうだから、ちゃんと釘差しとかないとな……。

「そういえば、なんでオルトのヘルスチェック引っかからなかったんだろう。怪我や病気があったらすぐ報告するよう伝えてあったんだけど」
「私から伝えたいって、オルトくんに口止めしてたからじゃないですかね。妊娠は傷病に当てはまらないのでレギュレーション違反にならないかなって」
「オルトォっ?!?!」

 まさかの弟の裏切りに再びイデアさんが叫ぶ。次からはきっと妊娠についても報告義務設定するんだろうなあ。オルトくんの場合、それでも抜け道探しそうな気がするけど。シュラウド家の血筋、そういうとこある。

「あっ、ちゃんつわりは?! 吐き気とか異常な食欲とか眠気とか頭痛とかイライラとかは?!」
「めちゃくちゃ勉強してますね、イデアさん。私つわりでそんなに症状あるって知らなかったです。今のところは全然ないですね」
「拙者にできることならなんでもするから言ってね……!」
「じゃあこのオナホの入り口に鋭い牙が生えた模型を3Dプリントで作って下さい。こう今にも食らいつくような構図で。それを元に表紙と挿絵描いてもらうので」
「違うそうじゃない」

 そうして夫の協力の甲斐あって、無事に息子が生まれた頃、表紙からしてドMでも一目で震え上がると評判のホラー純愛百合復讐譚『キラーホール』を私は世に送り出せたのだった。めでたしめでたし。

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