もちろん戻れなくなった

 年末年始が忙しいのはどこの世界でも同じらしい。
 ウインターホリデーに恋人であるデュースは実家に帰り、私は学園長から任された仕事の為にオンボロ寮に残ったのだが、長期休暇に入る前に彼とは体を重ねて。
 休みが明けたらいっぱいしようね、なんて恥ずかしい約束をした。なお、これに興奮したデュースにより先程のでおしまいと言っていたにも関わらず、もう一回延長戦に持ち込まれ、腰痛に苛まれた私が怒ったのは余談である。
 ただ残念ながらウインターホリデーが終わってかれこれ二週間経ったものの、未だ例の約束は果たされていない。
 デュースの新年バイトが主な理由だけれど、私の方も学園長から雑用をあれこれ頼まれたり、あとは生理になってしまったりとおかげでこの通り丸々一月我慢をする羽目になっていたのだ。

「あのデュース、ここ玄関なんだけど……」
「すまない。でも、もう少しだけこうさせてくれ」

 でもそれも昨日で終わり、やっとお互い余裕ができて、早速オンボロ寮に誘えば二つ返事でOKされたのだけれど……。
 彼を出迎えた瞬間から、私はデュースによる熱烈なハグを受けていた。グリムはエースが預かってくれているとはいえ、ゴーストのおじさん達はまだそこらを漂っている状態だった。
 なので彼らは私達の現状に目を手で覆っている。ただし指の隙間は大きく開いてるので隠している意味があまりなさそうだ。
 ただ何よりも既にお腹に……デュースの固いものが当たっているのが気になってしょうがない。肩口に当たる熱い吐息からも彼が色々と限界を迎えているのがよくわかる。
 どうしたものか、とりあえず私もデュースの背中に手を添える。ぎゅっぎゅっとおおよそ一月ぶりのぬくもりをお互い堪能していれば、彼の方から口付けてきた。キスされながら周囲に気を配るが、どうやらゴーストのおじさん達はいつものように奥の部屋へと引っ込んでくれたようだ。
 くい、と彼の服を引けば、健全とは言いがたい長いキスが終わる。もう限界とばかりの彼を「ここじゃたくさんできないよ」と煽れば、デュースは見事にその誘惑のまま寝室へと足を向けた。歩幅とか元々の足の速さ的に私を置いてしまうのを見越してか、デュースは私を抱える。
 それに大変なことになりそうだと思いながらも、しっかり期待している私がいた。

 寝室に入り込んだ途端、またしても激しく唇を塞いでそのままおっぱじめそうな彼を何とかいなしてベッドへと移動する。
 このがっつきようではもうお願いしても叶えられない可能性が高いだろう。部屋の電気、あらかじめ小さいのだけにしておいて良かった。
 私に覆い被さった彼の目は寒色だというのに熱っぽさしか感じない。私を射貫く緑色はギラギラと欲に満ちて独特の輝きを帯びていた。きっと私しか知らない雄々しい表情に胸が高鳴る。
 昔はキスで真っ赤になっちゃうようなウブな男の子だったのに。過去の彼を思い出して一抹の寂しさを覚えるが、それは私も同じか。

「んっ♡」

 キスに夢中になっていれば、デュースの手がパジャマの上着の中へと入り込む。久々なせいで敏感になっているのか、するりとおなかから胸へと彼の手が滑っただけで声を漏らしてしまう。
 慣れた手つきでパチンとホックを外してブラジャーが浮く。服の中で脱ぎかけのそれがごわつく感覚はあまり良いものではない。だがもどかしいのは彼も一緒だったのか、上着ごと胸の上までずらされる。
 剥き出しになった膨らみがふるりと震える。その先端はつんと既に立ち上がり赤く色付いていた。それを恥ずかしいと思うよりも先にデュースの口に含まれて見えなくなる。もう片方も彼が手のひらで覆い隠してしまった。

「やっ♡ でゅーす、おっぱい噛んじゃやだぁ♡」

 胸を鷲掴みにされて、乳首は甘噛みされて、痛みから制止を訴えたがその声は甘ったるい。だからデュースもこれぐらいの方がいいくせに、と言わんばかりの目をしている。その通りだけども私をそんな体にしたのはデュースなのに。
 胸を揉みしだいていた手が乳首をきゅっと抓るかのように摘まむ。ぐわっと開いた彼の口が乳房へ歯を立てた。強くされている、なのに私は快感に身を震わせるばかり。デュースの顔が離れたことで見えた、彼のくっきりとした歯形にぞくぞくした。
 パジャマのズボンも剥ぎ取られ、ショーツも同じく足から抜かれていく。太ももを掴まれ、かぱっと大きく足を開かされる。そして彼は躊躇なく、その間へと顔を埋めた。

「ひっ♡ ひゃ♡ んあ♡ あ、あぁ♡ でゅーす、やっ♡」

 ぢゅるぢゅるとわざとらしく音を立てながら、デュースは私の秘部を舐め回す。膣に舌を差し込んで溢れてきた愛液を啜る。彼の端正な顔が私のもので汚れているのに、すごく悪い事をしている気持ちになった。
 陰核をきつく吸われてびくびく体が跳ねる。絶頂と同時にぷしゃと吹き出した潮を気にする余裕はもうなかった。おなかに彼の手が乗せられる。

「えーっと、確かこうだったよな……」
「ひっ?!」
「すまない! 痛かったか?」
「え、なにこれ……」

 電流でも浴びせられたのか、彼の掌から来たビリッとした感覚に思わず悲鳴を上げる。そしてデュースが手を上げれば、私のおなか、ちょうど子宮に当たる場所に桃色の光を帯びた紋章が刻まれていた。
 ただその紋章にはよくよく見ると覚えがある。たぶん初級魔法の本に載ってたはずだし、エースが「お前うっかりやらかしそうだし、ちゃんと早く使えるようになっとけよ」とデュースに習得をせっついていた。

「……避妊魔法?」
「ああ。その、前々から練習してたんだがやっと使えるようになったんだ」

 できるようになったのだとデュースは実践したかったらしい。その姿はまるで狩ってきた獲物を見せつけてくるわんこのようだ。褒めて褒めてと言わんばかりの態度にとりあえず頭を撫でる。
 彼からするとそんなつもりではなかったのか。私の行動にびっくりしていたものの、心地良いのかうっとりした顔で撫でられ続けている。しばらくして私の頭にある考えが浮ぶ。

「ってことはデュース生でしたいの?」
「えっ、いや、僕はそんなつもりは……!」
「全くなかった?」
「…………あ、あったが、でも」
「正直でよろしい。いいよ、そのままして」

 この機会は捨てがたいのだろう。デュースは喜びを隠しきれないようでそわそわしているものの、私を気遣ってか躊躇いが見える。
 それに私は「使うほど上達するだろうし、ご褒美ってことで」と笑いかけた。そのことで吹っ切れたらしくデュースが私に覆い被さる。

「あっ……♡」

 くちゅ、と膣口に押し当てられた熱に粘っこい音が立つ。彼が軽く腰を突き出せば、ずぶぶと滑らかにそれは入り込んでいく。
 初めての直で感じる彼のものはいつもよりずっと熱い。ゴムによる摩擦がないせいか、私の中もデュースを奥へと引き入れて。子宮口に亀頭がめり込み、ちかちかと目の前に火花を飛ぶ。

「奥、すごく吸い付いてくるな」
「あっ♡ あぁぁ♡ だめ、そこだめえ♡」

 強すぎる快感に届いちゃいけない場所を抉られているようで怖い。でもデュースはどんなに訴えても私を揺さぶるを止めてくれない。頭がおかしくなる、こんなの絶対戻れなくなる。
 あまりに飛んでいるせいか、そういえばこれ姫始めなんだっけと今更なことを考える。新年早々、そして今年初めてのセックスにしては激しすぎないだろうか。そう思ったところで私に止める手立てはないし、何より止めたいなんて欠片ほどにも思ってない。

、きもちいい、ッ!」

 デュースもデュースで混乱しているのか。私が逃げないように押さえつけながら、ひたすら腰を打ち付けてくる。彼が暴走するのは今に始まったことじゃないけれど、それでもお互い感じすぎてパニックになってるせいか、いっこうに落ち着く気配はない。
 唇がくっついて舌を吸われた瞬間、根元まで埋め込まれた熱がどくどくと大きく脈打った。流れ込む精液の感覚に私もイってしまったようで、中の肉が激しく収縮しているのがわかる。
 はあー♡はあー♡と荒い息をこぼしながらデュースが私にのしかかってくる。そしてむくむくと瞬時に復活するデュースのデュースくん。元気がありあまってるなあ……。
 このまま腰を動かせば、もう私は流されるしかないのだけれど「、だめか……?」と雨の日に捨てられた子犬のような目でデュースは縋ってくる。断るわけがないとわかっているのか、いないのか。

「いっぱいするって約束したもんね」

 彼のさらさらの髪を撫でながら答えれば、嬉しそうな顔を見せてデュースは私にキスをする。
 それに興奮したのか、おなかの中の熱が更に主張を強めた。まだ彼は腰を動いていないにも関わらず、びくんびくんと中の熱は待ちわびたように跳ねている。さっき出したばかりだというのに。
 こっちのデュースは可愛いけども、中に埋まる彼の凶悪さを思い出して、明くる日に生まれたての子鹿となっているであろうことを私は覚悟したのだった。

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