最後がすべて
学生時代からの恋人あらため現在は夫であるデュースはナースコスが好きだ。
ネタはあがってる、彼の隠し持っている夜のオカズという形で。本人は「監督生に似ていたから……」と証言していたけども、オンボロ寮(片思いの相手の家に無断で置くかな普通……)で見つけた時も、夫婦になってからベッドの下にしまわれていたのもナースプレイものだったのでまず間違いないと思う。
別にその事を怒ってるわけじゃなくて、むしろ彼を喜ばせるためにも応えてあげたいなと考えていて。それでパーティグッズ系のちゃっちい作りではあるが、不健全な目的で使うためのナース服は調達してある。
ただあいにく私は看護師を目指していた経験がないのでナースプレイでどういった事をしているのかイマイチわからなかった。こんなことなら彼がオカズにしていた物の中身をもっとガッツリ見ておくべきだったなあ。
なんて後悔してても仕方がないので、気を取り直して私は家事の合間にパソコンでナースプレイのAVをチェックしていた(デュースは機械いじり得意だけどパソコン操作はイマイチで助かった)のだけれど、調べた甲斐あってなんとなくだが掴めた……気がする。どうやらこのプレイは尽くされたい、つまり甘やかされたい人が好む傾向にあるようだ。
デュース、わりと私に甘えるの好きだもんなあ。最初の頃はちょっとびっくりしたけど、今では普段のキリッとしてるギャップも相まってかわいいなと思ってる。
そんなこんなで準備は万端。さて最近、仕事が忙しくてお疲れモードのデュースを癒やすためにも頑張るとしよう。
「あの、デュース?」
というわけでナース服を纏った私は意気込みつつ、いつも通り寝室で彼がお風呂から上がってくるのを待っていた訳だが……私の姿を確認した途端デュースがフリーズしてしまった。
呼びかけてみたが、部屋の入り口で夫は鞄を落とした体勢のまま微動だにしない。どうしたんだろう、知らず知らずのうちに私は何か粗相をしてしまったのだろうか。喜んでもらえると思ったんだけどな……。
思わしくない反応に落ち込みつつ、持ってたカルテ(手作り)を挟んだバインダーを置いて、ナースキャップに手を掛ける。すべってしまった以上は潔く撤退するべきだろうと。
「待ってくれ、待ってくれ、脱がないでくれ!!!」
「そうは言われても、すべったネタ続けるのはしんどいよ」
コスプレを止めようとした瞬間、我に返ったらしいデュースが慌てた様子で待ったをかけてくる。それに私が弁解すれば、すかさずデュースは「すべってない!」と力いっぱい叫んだ。
床の鞄はそのままに、つかつかと近寄ってきたデュースがベッドへと乗り上げる。きりっとした表情は真剣そのもの、こんな状況でなければドキッとしていたかもしれない。いやまあ今も実はしてるけども。
「夢かと思ったんだ。ところで、その、はなんでナースコスしてるんだ……?」
「デュース、ナース服好きでしょ?」
私の発言にぎょっとした顔を見せて、言葉になってない悲鳴をデュースはあげる。頭を抱えた彼が「なんでバレてるんだ……!」とぼやいていたが、むしろなんでバレてないと思ってたの?
もっと凄い姿を見せてるはずなのに今のデュースは軽く呆れるぐらい赤面していた。クリティカルヒットなのは明らかだったが、念のために確認を取らせてもらおう。
「……興奮した?」
「股間が痛い」
「早いよ」
なんてツッコミを入れたものの、それほど彼が喜んでくれているのだとわかって嬉しくなる。訴えてくるだけあって彼のズボンは既にパンパンに隆起していて、なんとも苦しそうだ。
そうだ、この状況ならあのネタ使えるじゃないか! 事前に勉強した内容を思い出した私は彼のベルトへ手をかける。カチャカチャと金属音を鳴らす私にデュースは「ッ、?」と戸惑った様子を見せていた。
ズボンを脱がせて、彼の膨らみを下着の上から焦らすように指先で撫でる。やわい刺激に物足りないとデュースが視線を熱くする。その期待に応えるように彼のトランクスも下ろし、ぶるんと飛び出してきた男性器を握り込んだ。
「こんなに腫れちゃって……しこしこして、悪いの、絞り出しちゃいますね♡」
「う゛っ」
ノリノリで口にしたこの台詞だが、両片思い時代に見つけた彼のオカズの丸パクリである。彼の呻きは動揺か興奮からなのか。きゅっと握りこんでいた手の中の彼のものがビクついたところからして、たぶん後者だと思う。前者だったらまだ覚えてるってことだし、やっぱりお気に入りなんだろうなあ……。
私はえっちなナース、デュースが好きそうな感じのえろいお姉さん看護師、と自分に暗示をかけながら、彼の亀頭を指でぐりぐりといじる。早くも滲み出た先走りがくちゅくちゅといやらしい音を立てていた。
AVで見たままに尿道口を指先でいじめつつ、もう片方の手で上下にしごく。プレイの再現と気付いたからか、男優と同じようにデュースはなすがままである。
コスプレ物において全部脱ぐのは邪道という教材にした作品のレビューを頭に浮かべながら、自身の胸元だけを露出させる。続けてブラジャーを下へずらし、かがみ込んだ私は彼の男性器を胸へと挟み込んだ。
彼の熱と脈打つ感覚が直に伝わってきてぞくぞくする。こんな事をするのは初めてだけれど、見よう見まねで頑張るとしよう。
しっかり包み込むように両手で胸を寄せながら、ずりずり擦りつける。はみ出てる先端に舌を這わせれば、デュースの息がさっきよりも荒くなった。はあ、はあ、と短く繰り返される息は苦しそうだけれど、興奮しているからのものだとわかっているので、もちろん続行。
「スペードさん、出したかったらいつでも出して大丈夫ですよ♡」
にっこりと彼に笑いかけて、彼の先端を口に咥える。ちゅうちゅうと吸い付けば、気持ちよくてしょうがないとばかりにデュースは体を震わせた。
ぎゅっと瞼を閉じて身を縮こまらせるデュースはいつも私を抱く時と違ってなんだか可愛らしい。口の中の物の凶悪さとか、普段私を貪ってる時の雄!といった感じを一瞬忘れてしまう位には。……それにしても粘るなあ。
イかせようと奮闘していれば、顔を真っ赤にしたデュースが私の肩を掴む。彼の綺麗な緑色は涙で潤んでいて実に色っぽい。
「ナース、さん、ナカで治してくれ……じゃなくて、くだ、さい」
ああ、だから我慢してたのか。こんな状況でアレだけど納得しつつ、やっぱりかわいいなあと微笑ましい気持ちになった。
彼の要望に応えるべく体を起こせば、デュースは唇を合わせてくる。さっき舐めてたのにいいのかな。そう思いながらもデュースがキスを望んでくれたのが嬉しくて、口内に入ってきた彼の舌を自分のそれを絡めて。
キスしたまま、デュースが私の腰を撫でる。なんだかいやらしい手付きだった。いや今まさにエッチしてるんだから当たり前なんだけど。
それから私のスカートを捲り上げてショーツをずらし指をナカへ差し込んできた。彼に奉仕している間に自分も興奮していたらしい。デュースの指は簡単に入ってしまったし、動かす度にくぽくぽとふしだらな水音が立っていた。
「上、乗ってくれるか」
促されるまま、彼の足の上に跨がる。そしてすぐに挿入するかと思いきや、デュースは私の胸に顔を埋めて頬ずりしてきた。
やっぱり甘やかしてほしいのかな。いつもお仕事おつかれさま、頑張ってくれてありがとう、そう口にしながら彼の頭を撫でる。すーはーと胸の間で匂いを吸われるのはくすぐったいし恥ずかしいけど大目に見よう。存分に堪能して癒やされてほしい。今夜は彼の好きなようになんでもしてあげたい気分なのだ。
ぎゅっと抱きつきながら、とデュースが私を呼ぶ。彼の眉はへにゃと力なく下がっていた。
「いつも通り話してくれ……。なんだか他人行儀で少し寂しいんだ。どこぞのナースさんより僕の奥さんのがいい」
「うん。わかった」
もう一回、軽くキスをして、デュースが先端を私の膣口に宛がう。亀頭を飲み込んだ瞬間、ぐっと彼が腰を突き上げた。一気に彼の性器が奥まで入り込んだ衝撃に思わず背筋を逸らす。
私の腰を掴みながらデュースは何度も奥を押し上げてくる。彼に合わせるように自分も腰を動かせば、彼のピストンはいっそう激しくなった。
ベッドがギシギシ軋む音がうるさい、もうこれじゃただのセックスでコスプレプレイとか関係無い。でも気持ちいいのと幸せだと思うばかりで、そんなこと気にしてられなかった。
、、と繰り返される声が切羽詰まったものに変わる。もう余裕がないのだろう。ガツガツと奥を重点的に責めて、デュースは私の絶頂を促してくる。
一際強く突かれた瞬間、ナカがぎゅっとデュースを締め付ける。彼を搾り取るように動く内壁に「ぐぅ」とデュースは苦しげな声を上げて。次の瞬間、子宮へと熱いものが注がれた。どくんどくんとナカで脈打つたびに、とぷとぷと流れ込んでくるその感覚に思考を溶かされる。
こんなにいっぱい出されたら赤ちゃんできちゃうなあ。デュースの赤ちゃん、絶対可愛いだろうなあ……。
荒い息をなんとか整え終えて私はふと気付く。お互い達したはずなのに、ナカのデュースのものがまた固くなっていると。彼を元気にする、という目標は達成できたのかな、ちょっと意味が違うけど……。
「、まだ治まりそうにないんだが……」
ナカの感触でわかっていた上に、デュースが自己宣告してくる。お伺いを立てるような態度だけど、彼の欲情にギラついた目は「絶対に止めない」と訴えていた。
頷けば最後、いつものような獣じみたお互いを貪るようなセックスに移行するのだろう。あと今回ので赤ちゃんできちゃうんだろうな、確実に。
私のイエスを待ち望み、そわそわするデュースには申し訳ないがちょっとばかし考え込む。別にお断りする気はないけど、せっかくこんな格好をしているのだから、ちょっとは工夫したい。
あ、そうだ。夫婦になってから見つけた方のシチュを真似してみよう。するりと彼の首へ腕を回し、デュースの耳元でそれを囁く。
「先生、おなかがむずむずするんです。だから先生のおっきなお注射で治してください……♡」
余談だが、私の夫は甘えるのが好きだけれど、頼られるのも実は好きで。だからこの後どうなったかは、ご想像のままに。ただ数ヶ月後にデュースによく似た男の子を授かったとだけお伝えしておこう。
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