だめよだめよも好きのうち
文字通り、降って湧いた災難だった。
視界がまともに確保できないほどにざーざーと降りしきる雨の中をデュースと共に走り抜ける。デートの〆に予定していたレストランは初めて行く場所で、イマイチどの店かわからなかった。だから予定を変更して軒先がある店を目指す。
町外れなこともあり殆ど民家しかなかったけども、なんとかお店らしきものを見つけ、その軒下へと避難した。
「しばらく止みそうにないな……」
空を覆う暗い雲は厚く、デュースの言うとおり、まだまだ雨は止む気配を見せない。朝確認した天気予報では降水確率5%。だから絶好のデート日和と思っていたが、私達はよりにもよってその5%を引いてしまったらしい。
私も彼も傘を持ってきていなかった。よって突然の大雨に私達は為す術もなく濡れ鼠になっている。予定していたレストランで食べ終わったら一緒にオンボロ寮へ戻る予定だったけど、この調子じゃそれも難しいだろう。
「そういえば、ここ何のお店なのかな。デュース、そこのプレートなんて書いてるの?」
「えっと、休憩5000マ、ッ……」
読み上げていたデュースの声が途中でぴたっと止まる。それと同時にボシュッと湯気が出そうな勢いで彼が真っ赤になった。
彼が口にした概要と反応に察した私も思わず顔を赤らめてしまう。つまりこの店って……! 元の世界で見てきたようなお城とか、ギラギラした看板とか、いかにもな雰囲気ではなく、なんだかオシャレな建物だから全く気が付かなかった。
雨宿りしたお店の正体にお互いもじもじそわそわと落ち着きをなくしてしまう。周りを見ても店らしい店はないし、雨足は激しいまま、だからどんなに気まずくても移動はできない。まあ私達の関係からすると別に離れる必要もないしなあ……。
それにしても髪やワンピースの裾が肌に張り付いて気持ち悪い。根本的な解決にならないとわかっていたけど、髪と裾をぎゅううときつく搾る。合わせてぼたぼたと水の塊が地面へと落ちていく。
「……デュース? どうかした?」
「えっ、何がだ?!」
「いや随分私のこと見てるなあって……あ」
隣から鋭い視線を感じて思わず尋ねれば、何故かさっきよりも真っ赤になりながら慌てふためくデュース。彼が見ていただろう場所へ目線を下げて、その原因に私は辿り着く。
「……デュースのえっち」
「す、すまない」
濡れた白いワンピースはその下の黒色をくっきり映してしまっていた。丸見えになった下着を隠しながらデュースを咎める。せっかくベッドに入ってから楽しんでもらえるように透けにくいデザインを選んできたのに、濡れてしまってはそれも台無しだ。まあ今回ばっかりはしょうがないか。
あたふたしているデュースは可愛くていつまでも眺めていられそうだけど、そろそろ安心させてあげないとな。彼の名前を呼んで「怒ってないよ」と微笑みかける。それにデュースはホッとした様子を見せた。
そこからお互い無言のまま、ただただ時間が過ぎていく。雨はまだ止みそうになくて、濡れたままは不愉快で、なんとも言葉にしがたい雰囲気は悪いものじゃなくて、だから。
「ねえデュース」
彼の体温に縋るようにデュースの腕にすりよる。突然甘え始めた私にデュースは目に見えて動揺していた。どぎまぎ、ぎくしゃく、音にするならそんな感じだ。
「今日、外泊届出してるんだよね?」
「あ、ああ」
「良かった。その……寒いから、一緒にあったかくなりたいなあ」
誘い文句と言うにはそれはあまりにも稚拙だった。でもデュースは私の台詞にごきゅと大きく喉を鳴らす。
店の中へ足を踏み出す。腕を組みながらなんてバカップルみたいだ。ただ幸いロビーには誰も居なくて。無人受付であることに感謝しながら、タッチパネルで選んだ部屋に向かうべく私達は早足でエレベーターに乗り込んだ。
◇
「んっ……ふ、ぅ……」
部屋に入ってドアを閉めた瞬間に唇を塞がれる。最初からフルスロット、噛みつくような口付けに思わずデュースの体に縋り付く。雨に濡れて冷たいはずなのに、ぴったりと布越しに合わせた肌は熱いくらいだった。
容赦ない口付けに腰砕けになっていれば、デュースは私を抱きかかえて部屋の奥へと進んでいく。私と違ってしっかりとした足取りだった。
こういった場所に入るのは初めてだけども、外観と同じく部屋の中も意外にまともで。まあ普通のホテルと比べるとやたらベッドが大きかったり、ガラス越しに見えたお風呂も二人で入っても余裕そうなサイズだったりするけども。
ただお風呂がガラス張りなのはちょっといただけない。某国民的アニメのヒロインじゃないんだから、シャワーシーンは見られたくない。
「あの、デュース?」
そう思っていたのに。デュースは脱衣所に迷わず足を進める。脱がしにかかる彼に思わず疑問の声を上げれば「一緒にあたたまるんだろ?」と当たり前のように返してくる。
……さっきのアレはベッドでイチャイチャしようって意味だったんだけど。微妙に違う意味で取られてしまったらしい。
参ったなあ、なんて悩んでいる間にワンピースが頭から抜き取られる。脱がしやすい服を着てきたとはいえ、いつの間にこんな手際が良くなったのか。それだけ肌を重ねてきたという事実を突き付けられたようで恥ずかしい。
ただせっかくのデュース好みのえっちな下着もこの状況では台無しだろう。と考えたのだけれど、はっきりと下着の全貌を見たデュースの目がギラついたので全く効果無しといったわけでもなさそうだ。
これはお風呂でも一回されちゃうんだろうな。どこか現実感のない状況にぼんやり予測していれば、案の定……。
「ひぁあ、あ、んっ、でゅーす……♡」
頭上から温かいシャワーが降り注ぐ。雨のせいで冷え切った体はまだ温まりきっていないけれど、下半身だけは異様に熱い。裸にひん剥かれた私は洗い場でデュースに後ろから貫かれていた。
壁に縋り付いているけども、彼が与えてくる快感に立ったままの足がガクガクする。ただがっしりとデュースが腰を掴んでいるから膝をつくことはないだろう。
なんでお風呂ってこんなに響くのか。シャワーが流れていても情事の音はかき消されない。反響する自身の嬌声に耳を犯される、直接的な快感と間接的な刺激に追い立てられる。それはデュースも同じみたいで、包み込んだ内壁からいつもより早く彼が限界を迎えようとしている気配を感じた。
ゴムは付けてない。だからこのままじゃだめだと理性は訴えかけるけど、欲を知ってしまった私は目の前の快感に逆らえなかった。
デュースのピストンが早くなる。ぶわりと全身から汗が噴き出した。くらくらと頭が揺れるのは、湯と情事、どちらにのぼせたせいなのか。絶頂直前特有の感覚に体が震える。瞼の裏が白んで。
「え……」
正に今、達しようとしたその時、デュースの熱が胎内から抜ける。そしてお尻に湯とは違う熱いものがかけられた。射精を終えて、ぎゅっとデュースが後ろから抱きしめてくる。彼の荒い息が耳にかかってくすぐったい。
中に出さなかったのは彼の優しさだ。そう分かっていても胎内でぐるぐると渦巻いたまま、行き場のない熱が切なくてしょうがない。消化不良となった快感に頭がおかしくなりそうだった。いや、きっと既におかしくなっていた、だから。
◇
「……?」
私に見下ろされたデュースが狼狽しているが、もう限界だった。お風呂から上がって、二回戦に進む前に少し休憩を入れようとしてくれたのだろう。
ベッドの上に仰向けになったデュース。その腹の上に私は跨がっている。体に軽く巻き付けただけのバスローブはもうはだけて、彼に裸体を晒してしまっていた。だが整えることはしない、どうせすぐに乱れてしまうのだから。
おなかで燻る熱も、疼く体も、私を獣にするには十分過ぎる。デュースのバスローブの裾を割って、私のお尻の下で既に元気になっていたそれを取り出す。そして指を添え、先端を秘部へと標準を合わせた。ぐりぐりと擦り付けた膣口から垂れた愛液が彼の熱を濡らす。
「ま、待ってくれ! 今ゴムを付けるから!」
「やっ、もう我慢できない……♡ あっ、ぁ……♡」
「うぐ……!」
ぬぬぬ、と生身の彼の熱を自分の意志で受け入れていく。二回目なのに凄く固い。胎内にデュースの熱を全部収めた私は暑がる犬のようにハッハッと短い息を繰り返していた。
デュースのお腹に手を置いた私は足に力を入れてゆっくり腰を持ち上げる。カリの部分を残した状態で上下に動いて。ぐぽぐぽと捲れた粘膜と溢れた愛液がふしだらな音を立てていた。
「はっ、ん♡ ん、んっ♡ ふあぁ♡」
さっきイけなかったせいで中が敏感になってる。浅い所でこんなに気持ちいいのだから奥をごりごりされたらどうなっちゃうんだろう。怖いと思いながらも期待と好奇心に抗えなかった。腰を一気に落とせば、まるで下から突き上げられたような刺激を受ける。
先端で子宮口を押されて、ぞくぞくと背筋が震える。肌はすっかり赤らみ粟立っていた。にゅるると限界まで抜いて、根元まで咥えなおして。きゅんきゅんと子宮がはしたなく疼いている。勝手に腰が揺れてしまう。
「ああっ♡ ふ、ぅ♡ でゅーす、なか、だしちゃ、だめだからね……」
「わっ、わかってる……!」
釘を刺す私にデュースはハッと我に返った様子を見せて返事をする。先程は生でするのを遮ろうとしていたのに、デュースも行為に夢中になってしまっているようだ。私の腰を掴んで支えてくれている。彼のあの美しい緑は熱っぽくとろけていた。
「すまない。出そうだから体勢変えさせてくれ……」
「んんっ♡ やっ、だめっ♡ わたしも、もうイくから♡」
「えっ、ちょ、んぐっ! ! 動かないでくれ! 本当にまずいんだ!!」
彼が本気を出せば簡単に私など押しのけられるだろうに。体は正直というやつか、デュースの手は私の腰を掴んだままだ。がっちり掴んで、私の律動は手伝っても逃がしてくれるつもりはないみたい。
だめ、だめ、だめなのに。中でまた大きくなった熱に限界まで広げられて。私の体も彼の熱を離したくないとばかりにきゅうきゅう締め付けている。コツコツと子宮口を叩かれて、悲鳴のような喘ぎ声を口から零れていった。
「、もうイく、出る、出すからな……!」
「やあっ♡ だめ、だめ、なかはだめぇ♡ ひぁああっ♡」
ぴったりと奥に先端が宛がわれた状態でデュースの欲望が弾ける。どくどくと脈打ったそれは熱い迸りを私の子宮の中へと流し込んできた。びゅくびゅく、びゅるる、そんな音が胎内から聞こえてきそうな勢いだった。赤ちゃんができちゃうかもしれないのに、私の中は彼の熱を一滴残らず搾り取るみたいに動いて。
そうしているうちにもう一度デュースは私の中で射精する。その衝撃にびくんと体が跳ねて、目の前が真っ白になる。中に出された感覚で達してしまったらしい。中で出されるの、初めてだったのに。
ずるりとデュースの熱が胎内から抜ける。それを追うように緩んだ膣口からごぽりと白濁が溢れ出した。真っ白になりながらひくつくそこは自分の体なのにいやに卑猥なものに見える。
「もう、だめって、いったのに……♡」
言葉こそ咎めるものだったけれど、声はまったくそんな色がない。きっと表情も同じだろう。
物欲しげな秘部を見たデュースが再び喉を鳴らす。さっきのお返しとばかりに押し倒してきた彼は一晩中私を抱き潰したのだった。
翌日、昨晩のはっちゃけ具合に、正気に戻った私がシーツのみのむしと化し「安心してくれ! 昨日のはすごくエロくて可愛かった!」とデュースがフォローのつもりで追い打ちをかけ、退出時間ギリギリまで私がトイレへと籠城を決め込むことになったのは余談である。
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