貴方しか見えない

「……その、ダメか?」

 本日最後の授業が終わった後、クルーウェル先生から道具を資料室まで戻しにいくのと、ついでに整理をお願いされて。それにたまたま部活が休みだったデュースが付き合ってくれた。
 元々私はこの作業に慣れていたし、二人ですればあっという間に片付け終わって、さあ帰ろうかと言い出そうとした私は今、机の上に押し倒されている。
 突然の事に驚いたとはいえ、彼の発言の意図がわからないほど私はウブじゃない。他でもないデュースと共に経験してきたから。
 この資料室は滅多に人が来ないと知っているけれど、でもここは学校だ。普段の私ならオンボロ寮に帰ってからと諫めていたことだろう。

「一度で、終わらせるから」

 そう言って終わらせてくれたことなど今まで一度も無かった。その上、ここ数日間に至っては毎晩オンボロ寮で私の事を抱き潰している。だからデュースのその言葉は全く説得力がない、信用できない。なのに私は彼のお願いを一蹴できずにいる。

、頼む」

 また、あの目だ。何かに怯えるような、怒っているような。色んな感情が入り交じった彼のその瞳を見てると、どうしても突き放せなくなってしまう。
 最近のデュースはなんだか様子がおかしい。隠し事は得意じゃなくて、自分の気持ちには正直で。そんな彼が何かを隠してる。おそらく私に関わる事なのだろうけれど。
 何をそんなに怖がってるんだろう、何が彼の気に障ったのだろう。あいにく見当も付かない。ただ私を抱いた後は少しだけ落ち着くのだ。

「……いいよ」

 だからなのだろう。気付けば私の口は彼の懇願に了承の言葉を発していた。

「ふあ、あ♡ でゅー、す♡」

 場所が場所だから、ちょっとはだけさせられるぐらいだと思ってたのに。その考えは大きく外れて、気付けば私は靴下以外、全て脱がされてしまっている。靴は彼の愛撫に乱れるうちに両足とも地面に落ちていった。
 対するデュースはジャケットすら脱いでいない。付けっぱなしの電気、私だけが裸。そのことが恥ずかしくてたまらないけれど、現状を考慮したら脱いでくれとは言えそうもない。
 ぐちゅぐちゅと秘部に入り込んだ彼の指が卑猥な音を立てる。視覚と聴覚と触覚、三方向からの刺激に私の体はいつも以上に反応してしまう。それに学校というシチュエーションが持つスリルも手伝っている気がする。
 優等生から足を踏み外してるよ、デュース。そう思ったところで止めることは私にはできやしない。せいぜい共犯に落ちるくらいしか。マジメに振る舞うのは皆の前の監督生だけ、今の私はデュースの恋人であるただのなのだから。

「んっ、ん♡」

 指を動かしたまま、デュースの端正な顔が近づいてきて唇を塞ぐ。最初の頃はこんなことできなかったのに。馬鹿みたいに体を重ねてきたことを突き付けられたようで全身がカッと熱くなる。でもそんな羞恥は唇から来る快感にすぐ溶けてしまった。
 ぬるぬると舌を絡めて、擦り合わせて。そんな単純な動きが訳が分からないぐらい気持ちいい。たらりと口端から飲みきれなかった唾液が垂れていく。
 そうこうしているうちに指が抜かれて、デュースがカチャカチャと音を立ててベルトを外す。続けて彼は下着ごと膝の辺りまでズボンをずり下ろした。
 飛び出してきた生身の彼の熱が私のおなかをぺちと叩く。すっかり固くなったそれから零れた先走りがおなかを汚す。何度も受け入れているのにこんな大きな物が全部入ってしまうなんて未だに信じられない。びくびくと肌の上で脈打つ熱に背がぞわぞわと震える。期待に心臓が昂ぶっていく。
 取り出したゴムを付けてデュースが秘部へと熱を擦りつける。その刺激にこぷりと私の体から蜜が溢れた。片足を大きく持ち上げられる、はあと獣じみた呼吸が彼の唇から吐き出された。

! 好きだ……!」
「ッんん〜〜〜〜!!!」

 どちゅん!と一気に奥まで突き上げられて声に鳴らない悲鳴を上げる。待ちわびていたせいか、まだ入れただけだというのに早速私は達してしまって。目の前がちかちかする。

「ッん、ひ、ああぁっ♡」

 絶頂からまだ戻って来れてない。なのにデュースは待つどころか、ごちゅごちゅと勢いよく腰を打ち付けてくる。普段と比べて少し乱暴なのに、彼との行為に慣れきった体はそれにすら快感を見いだしてしまう。
 ずるずるギリギリまで抜いて、かと思えば奥まで突き入れて。彼の張り出した笠が内壁の気持ちいいところをごりごり抉る。おなかが熱い、全部入っていっぱいになるのがちょっと苦しいのに、それ以上に気持ちいい。
 ここはオンボロ寮じゃないのに、学校だから我慢しなきゃだめなのに。そう思っても声が抑えられない。腰を引いて快感から逃げようとすれば、しっかりと掴まれて奥へとデュースが熱を押し込んでくる。

「あっ♡ でゅーす♡ だめ♡ そこ、よわ、ふああッ♡」
「だめ、じゃ、ないだろッ……!」
「やあっ♡ ぐりぐりしちゃやだぁ♡ ひうう♡」

 ぐりぐり子宮口にデュースの熱が擦りつけられる。それに私の体は悦ぶばかりで、もっともっととばかりに内壁が収縮するのが自分でもわかった。
 腰を打ち付けられ、こつこつと子宮口をノックされてさっきから私は上り詰め続けている。まだデュースは一度もイってないのに。
 だめ、やだ、なんて言ってても私の体は何よりも正直で、もっともっととばかりに彼の腰に足を巻き付けている。おかげで彼の熱は最奥まで届くどころかめり込んでしまっていた。

「ぅ、ん……でゅーす……?」

 みっちりと私の胎内にデュースの熱に満たされた状態で彼が動きを止める。
 全てが引き下がることこそないけれど、緩やかになった快感に少しばかり私は平静を取り戻すことができて。あの苦しそうな目をしたデュースに気付き、私は思わず彼の頬へと手を伸ばしていた。

、アイツと仲良くしすぎじゃないか?」
「あいつって、だれ……?」
「例の図書室の先輩だ。そんなキーホルダー貰ったりだとか」

 度重なる快楽に衰えている思考回路では彼の指している人物がわからなくて正直に尋ねれば、デュースは鞄を指さす。
 それにようやく私は彼の様子がおかしかった理由に行き当たった。真剣に悩んでいただろうデュースには悪いけれど、私はそれに微笑ましくてしょうがなかった。
 なんだ、やきもちやいてたんだ。きっとこの様子だとそういうの初めてなんだろうなあ、だから余計に不安だったのかな。何にしたって私はデュースしか見えてないのに。

「ふふっ」
「笑わないでくれ……」
「デュースかわいいね、心配しなくても大丈夫だよ……だって、私、あの先輩の名前も知らないもん」

 彼を安心させるためにそう口にすれば、曇っていた彼の瞳が輝きを取り戻す。そうなのか、と呟くデュースはまるで自分に言い聞かせているようだった。
 身をかがめてデュースが口付けてくる。それに私が大きく口を開けば、デュースの舌が入り込んできて再び口内を掻き回していく。
 私の脚が腰に絡んでしまっているからだろう。上から突き立てるようにしてデュースは腰を揺さぶってくる。それに私は彼の背中へと腕を回してぎゅっと抱きついた。

「すきっ♡ だいすきっ♡ でゅーす♡ でゅーす♡」
「僕も愛してる……!」
「あっ♡ でゅーす♡ ふ、ああ♡ もっ、う、わたし、だめ♡」
「ん、一緒にイこう」

 二人で達する直前にデュースがキスしてくれて、そのまま互いの体が大きく跳ねた。ぶわっと胎内の彼の物が膨らんでゴム越しに欲を吐き出す。全て絞り出すかのよう、デュースは奥まで入り込んだまま、ゆるゆると腰をゆすっていた。
 腕をほどかれ、胎内から彼の熱が抜けていく。だらりと身を預けた机は発熱する私によって生ぬるくなっていた。こんなところでしたら、体が痛くなるのはわかってる。
 でも満足しているとは到底思えない獣じみた息遣いのままの彼へと私は両腕を伸ばす。もっと、とねだる声は自分でも呆れるくらい甘ったるかった。目の前の人だけが私は欲しい。

「でゅーす……♡」
「ああ、ただ少し待ってくれるか?」

 しばらくしてバキンとただならぬ音が頭上で鳴った。デュースの開いた拳から何かがパラパラ落ちる。
 けれど彼がもたらす愛情と快感にとろけた思考回路ではそんなことは全く気にならなくて、ただただ目の前の彼がもう一度愛してくれることへの期待だけで私の頭は満たされていた。

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