おめでとうございます、元気な男の子ですよ

 夫の仕事である魔法執行官は激務である。ここ一ヶ月は殊更忙しく、朝から晩まで働きづめ。職場で寝泊まりすることが大半で、帰ってこれたとしても私がすっかり寝入ってる深夜か早朝ときた。
 そんな状態だったため、ここ最近は会話どころか顔を見ることすらないほどのすれ違い生活を私達は送っていて。
 おかげで職場の先輩から、この時期は嫁から離婚を切り出される者が多いと聞き、不安になったデュースが僅かな休憩時間に「捨てないでくれ……」と弱々しい声で電話をかけてきたのは記憶に新しい。
 これはだいぶやられてるなあと心配になったし、落ち着いたらめいっぱい甘やかしてあげようと決心して。そう思い続けて迎えた今日のお昼頃、彼から「やっと一段落付いた、明日は休みを貰えたし今夜は早く帰れる」と連絡が入ったのだ。
 だからいつもより豪勢な晩ご飯とお風呂を用意して、何ならすぐに眠れるようふっかふかのお布団だって用意しておいた。そして準備万端整えて、帰ってきたデュースを笑顔で出迎えたのだが。

「デュ、デュース、待って、まっ、ん、んっ……」

 現在、私は帰ってきた夫に出迎え早々べろちゅーを決められている。おかえりのキスは私達の習慣(親友のエースに「こっちじゃ常識」と騙されたのがきっかけだがデュースが喜ぶのでそのまま継続している)となっているが、さすがにこんなに激しいのは困る。
 精一杯の抵抗のつもりで胸を叩くが、デュースの舌はいっこうに止まらず、がっしりと回された腕にいっそう強く抱きしめられるだけに終わった。

「でゅ、でゅーす……」
「抱かせてくれ」

 酸欠になるほど口の中を嬲られ、解放された頃にはもう私はへろへろだった。だがおかまいなしにギラついた目のデュースは私の胸を撫で回したり揉み始めている。質問の意味とは。
 これじゃせっかく作ったご飯もお風呂も冷めてしまう。でも彼と同じく私もおあずけ状態だったのだ、その二つは目をつむってしまうくらいにはまんざらじゃない。ただ私にも譲れないところはあって。

「する、するから、デュース、ベッドいこう、ねっ?」
「別にここでいいだろ」
「う゛う……じゃあ、せめて防音魔法して。デュース以外に声聞かれたくない……」

 何かと顔を合わせる以上ご近所さんと気まずくなるのはごめんだ。それに久しぶりだから絶対声を我慢できる気がしない。もし帰ってきて今すぐ寝たいと言われたならそうするつもりだったけど、正直なところ、ちょっと期待して準備してたくらいだし。
 こうなった彼は強情だ。だから何とか最低限それだけは譲歩してくれるようねだる。もしこれがダメなら頭突きで気絶させて無理矢理おやすみさせるつもりだった。
 たださすがに彼もそれは好ましくなかったのか、あるいは野生の勘でおあずけの気配を察知したのか。手早く防音魔法をかけると、デュースはまたキスをしつつ襟ぐりから手を突っ込んで私の胸をまさぐってきた。

「……今日の下着えろいな」

 頭から私が着ていたワンピースを抜いたところで出てきた下着にデュースが熱の籠もった声で呟く。がっついているから流されるかもと思っていたのだけれど、そこはしっかりチェックするんだね……。
 デュースはセクシー系が好みらしいからと用意した下着は黒色の総レース、ついでにフロントホックである。脱がしやすさ重視の服装は明らかに己の欲が透けてて、自分で準備しておきながらだいぶ恥ずかしい。でもデュースはそれに引くどころか興奮している様子なのでひとまずセーフということにしておこう。
 パチンとホックを外すと、デュースは剥き出しになった胸をぐにぐにと揉みしだく。いつもより荒っぽい手付きは彼の余裕のなさが現れているようだった。でも同時に求められているように感じて嬉しくなってしまう。

「あっ♡ んっ♡ んん……♡」

 ぢゅう、と強く胸の先を吸われる。案の定声は押さえられそうもない、ただもう防音してもらっている安心感と彼が喜ぶから控えるような真似もしなくて。痺れるような快感に目の前の彼の頭に縋る。
 胸の愛撫はそのままにデュースの両手がショーツの上からお尻を揉む。しばらくして彼の手がお尻から内股へと滑って、今度は太股を撫で回して。

、いつもより感じるの早くないか?」
「だって私もデュースとずっとしたかったもん……♡」
「ああ、それでもうこんなぐちゃぐちゃなんだな」

 ショーツの中に入り込んだデュースの手がくちくちと音を立てる。デュースの言うとおり、ひどく濡れていたせいで、にゅると彼の骨張った指を簡単に受け入れてしまう。
 まるで指でセックスするかのよう、激しく中をかき混ぜられる。ここ一ヶ月、全く触っていなかったから狭くなっているはずなのに私の体は悦ぶばかりで。目の前の彼の胸に寄りかかって、性急ながらも確実に高みへと導く指のなすがまま。
 そうして絶頂を迎えた中がぎゅうぎゅうと彼の指を締め付ける。はふはふと息をするのに必死になっている間にずり下ろされたショーツが床へと落ちた。
 続いてかちゃかちゃと金属音とジッパーの音が鳴る。デュースがズボンの前を寛げた途端、ぶるんと勢い良く飛び出してきたそれは何だかいつもより大きかった。彼の興奮を改めて突き付けられているかのようで思わず目を逸らす。
 二、三度扱いてデュースは私へ首へ腕を回すように言いつける。その通りにすれば片足を持ち上げられて。

「えっ、あの、でゅーす」
「しっかり掴まっててくれ」
「ま、まっ、ひあああっ♡」

 ずぷんと一気に奥まで貫かれた後、もう片方の足まで宙に浮かされる。不安定な体勢に思わず腕に力が籠もった。
 自重のせいか、普段よりも深く繋がっていてデュースの先端が子宮口にぴったりはまってしまっている。入っているだけでびりびりと電流のような快感が絶えず襲ってきて。キスしながら小刻みにデュースは腰を揺らす。

「ふあ♡ でゅー、す♡ これ、だめぇ♡ あっ♡ ん♡ おく、ずっと、あたって♡ あっ、ああ♡」
は奥好きだろ」

 ただでさえ久しぶりだから感じすぎてしまっているのにデュースは容赦なく、とんとん、ぐりぐり、ひたすら奥を責めてくる。奥の奥まで彼に満たされている感覚に子宮が甘く疼いて苦しい。弱い所を常時刺激され、何度も何度も一人で上り詰めてしまう。
 最初こそ遠慮がちだった腰使いはどんどん激しさを増していく。デュースも限界が近いのだろう。

「ん、んっ♡ でゅーす♡ ま、って♡ このままじゃあかちゃん、できちゃう……♡」

 そういえば避妊していないことを思い出し、咄嗟にそう口にする。それに今日はたぶん授かりやすい日だ。今からゴムをしたって遅いけど、外に出すくらいはできるだろうから。
 そう気遣って制止をかける私にデュースはムッとした顔をして、ぐっと子宮の入り口を押し込んでくる。その刺激に目の前がちかちかと白く点滅する。なんでこんな意地悪するんだ、つい睨み付ける私にデュースはしょんぼりした様子を見せる。

「……できてほしいんだ。僕はとの子供が欲しい、は嫌か?」

 彼の懇願に淡い怒りは一瞬で吹き飛ぶ。回らない頭でもわかった、その聞き方はずるい。ぎゅうと抱きついて、デュースの胴体に足を絡める。

「ほしい♡ でゅーすのあかちゃん、いっぱいほしい……♡」

 暗に中に出してと匂わせる態度、それから言葉でも。そして口付ければ私の本心は十分伝わったようで。

「あッ♡ でゅーす♡ でゅーす♡ きもちいい♡ んあっ♡ あっ♡」
ッ、……!」
「んあああっ♡ すき♡ でゅーす♡ あっあっああっ♡」
「中に出すからな! しっかり孕めよ……!」

 奥に先端をぴったりはめこみながらデュースは熱を吐き出す。びゅーと音が聞こえてきそうな勢いで注ぎ込まれる精を一滴たりとも零したくないとばかりに子宮が吸い上げる。その間も出し終わるまでデュースは何度も奥に擦り付けてきて。
 軽くキスを交わした後、足が下ろされる。でも足も腰もガクガクで、ぺたんとその場に座り込んでしまった。ごぽと中から溢れてきた彼の精がドアマットの上に垂れる。それに今更ながら、なんて所でやらかしてしまったんだと頭が痛くなった。

「……明日は休みだから、今までの分も頑張ろうな」

 だがその後悔は私を抱きかかえニッコリ笑う夫に一瞬で吹き飛ぶ。あ、これ抱き潰されるやつだ。そう予感して、しかも後で大変なことになるのが目に見えている。
 でも浴室へと向かう彼を引き留める気はさらさらないのだから、我ながら困った奴だと自嘲するしかなかった。

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