無茶ぶり彼女と優しい彼氏のエースくん
「えーす、えっちなことして……」
情けない声で縋る私に、ソファの隣で腰掛けていたエースの綺麗な顔がとんでもない表情に歪む。そうなるのも無理はないのだけど、どうしても湧き上がる性的衝動に耐えきれなかった。
普通の時ですら自分で処理できないというのに、生理中にムラムラした時の対処法なんて尚更わからない。ただ無性にエースに触ってほしくて気付けばそれを口走って。
そう、私は今、生理中である。それも三日目と、一番辛い時こそ過ぎているが全然えっちができる時期じゃない。常識的に考えて生殖には向いていない状態なのに、ホルモンバランスが崩れるせいでそういった症状が出ることがあるのは知っていた。
でもあんな体調が悪いのにそんな気持ちになれるわけないだろ!と私は舐めていたのだ。実際、前までは性欲自体ほとんど感じなかったし。でもエースの彼女になって、いっぱいえっちするようになって、気付いたらエースとのえっちが好きになってしまったせいなのか。
今日も外へおでかけのはずだったのに、エースは私が生理中だと知るとおうちデートに変更してくれて、あったかいハーブティーを淹れてくれたり、おなかや腰をさすってくれて。
そんな彼の優しさに胸がときめくと同時、生理中じゃなかったら今頃いっぱいえっちしてたのにと考えていたところ、自分ではどうしようもないぐらい、ムラムラしてしまったというわけだ。
私に無理難題を押しつけられたエースは今も色んな感情の入り交じった表情を見せたまま。本当に申し訳ないと思いながらも、すりすりとくっついて甘えてしまう。
「お前、オレが優しい彼氏なことにホンット感謝しろよ……」
頭を抱えていたエースはしばらくして大きなため息を吐いた。それから私の顎を持ち上げて唇を塞ぐ。ソフトなキスを数度くり返すうちに緩く唇が開き、エースの舌が私の口内へと滑り込んだ。
絡みつく舌に力が抜ける。交わっていたそれをゆっくりほどいた後、エースの舌は私の上顎や歯茎を突くようにしてなぞっていった。
どんどん深くなっていくかと思えば、急に触れるだけのキスになったり、いきなり舌を甘噛みしたり、緩急を付けるようにしてエースはキスを続けていく。
ぎゅっと優しく抱き寄せられて、唇を合わせたまま髪を撫でられる。キュンとするのに、それと同じぐらい安心して、快感とはまた違う気持ちよさにとろけてしまう。
エースが体を離して私のパジャマのボタンを外していく。胸元から下はそのままに、肌着として身に付けていたキャミソールの肩紐ごとパジャマがずらされた。その動作によって胸だけが露出した状態に「あ、ぅ」と自分でもよく分からない声が出る。
いつもより張っていようと、おおよそ大きさが足りないせいで観測できないが、おそらく下乳に当たる部分をすりすりとエースが優しく指の腹でさする。くすぐるようなソフトタッチにぴくぴくと体が勝手に反応してしまう。
「……嫌じゃなさそうだから続けるけど、ダメそうなら言ってよ」
「う、ん」
エースはスキンシップが多い方だけど、私が生理になると控える傾向にある。なんでも彼のお父さんやお兄さんが、奥さんや彼女に生理中にちょっかいを出してガチ切れされた話を聞いてきたから、らしい。
だけどきっとそれだけじゃなくて、単純に私の体調を気遣ってくれてるんだと思う。私より先に私の不調を見抜くぐらい、エースは私のことをよく見ているから。
「ぁ、あ♡ えーす♡」
触れるか触れないか、そんな力加減でエースが私の胸の上に指を滑らせる。生理中は張って敏感になっているはずなのに、その優しい手付きのおかげで不快感はまったくない。むしろもっと触ってほしいぐらいだった。
円を描くように胸全体に指を緩く押し込まれ、乳輪をくるくると撫でられる。なかなか乳首に触ってもらえない、そのじれったさからついエースに視線を送る。だけどエースは私の懇願を見ないふり。さわって、と漏らしても時折親指がかすめるだけ。
だがようやくしっかり手出しする気になってくれたみたいだ。真っ赤になって主張し始めていた乳首をエースはゆっくり舐めあげる。舌のざらついた感触に背筋がぞくぞくと震えた。私の羞恥心を煽るためなのか、見せつけるようにエースのやわらかい舌が何度も動く。唾液と共に熱の籠もった息が開きっぱなしの口からこぼれた。
ちゅ、といつもより控えめに左の乳首に吸い付かれる。口で左胸を丁寧に愛撫したまま、エースはもう片方もゆるゆる指でかまって。生理痛の時とは違う、子宮の疼きに自身の絶頂が近い事を悟る。
だから彼が与えてくれる快感に身を委ねていれば、膨らみきった気持ちよさが弾けて目の前が真っ白になった。絶頂の余韻が全身を覆う。なかなか快感が抜けず震える体を支えるようにエースは私を抱きしめてくれた。
「……満足した?」
「えーす、すき……♡」
「おーいオレの話、聞こえてる?」
「おねがい♡ えーす、もういっかい、ちゅーして♡」
「あ、これ完全にトんでるわ」
エースが何か言ってるのに全然理解できなくて、なのに理性の吹き飛んだ私は自分勝手におねだりをしてしまう。だけどエースはさして気分を悪くした様子もなくて。私がお願いした通り、優しく口付けてくれた。
ちゅ、ちゅっといっぱいキスをしているうちになんとか思考能力が戻ってくる。だけど自制は効いてくれないようで、欲望のままにエースに抱きついてすり寄ってしまう。
そして、はたと大きくなった彼の下腹部に気付いてしまった。思わずじっと眺めてしまえば、私の視線から遠ざけるようにエースが手で隠す。
「のスケベ。……後で自分で処理するから変な気使おうとしないでよ」
「で、でも私が原因だから、その手とか口とか使えば」
「今はそれよりお前が寝てくれる方がありがたいんだって」
そういうとエースは乱れた私の服を整えて、ぽんぽんと優しく私のおなかをあやすようにして寝かしつけモードに入る。私は幼稚園児か?
なんて内心で思いながらも、元々の体調不良と絶頂したことで疲労したのか、気持ちとは裏腹にすぐさま眠気がやってくる。それに私の瞼はろくに抗えぬまま閉じられていく。
眠い、めっちゃくちゃ眠い。でもこれだけは言わなくちゃ。
「えーす、ありがと、だいすき」
「ん、どーいたしまして。とはいっても一週間後にしっかりお礼してもらうから、そのつもりで」
エースとしては覚悟しろって宣言なのかもしれないけど。いっぱいイチャイチャしたい私からすれば、別の意味でドキドキするだけなんだけどなあ。
寝る直前の私はもう一度エースのキスを堪能しながら、ぼやけていく意識の中でそんな風に考えていた。