10倍返しは基本中の基本
「エースって脇腹弱いんだね」
今日は一際しごかれたらしい。部活後にオンボロ寮へと泊まりに来たエースはいかにも疲れてますと言わんばかりの顔をしていて、実際口でも「もうヘトヘトだわ……」と言っていた。
それでも彼はオンボロ寮へ訪れている。外泊届を出していたというのもあるのだろうけど、だとしても疲れた体を存分に癒やせる温かいシャワーやふかふかのベッドではなく、名前の通りオンボロな寮での逢瀬を選んでくれたのが嬉しい。
そうして気をよくした私はおつかれさまの意味を込めてマッサージを申し出たのだ。普段の彼なら「え〜、ぶきっちょなお前にできんの?」とか、からかいの一つもあっただろう。
けど今日はその元気もないのか、じゃあ頼むわと素直に了承してエースはうつ伏せに横たわった。
なのでせっせと懸命に彼の体をマッサージし、だいぶコリがほぐれてきた時だった。声こそ上げなかったけれど、たまたま私が彼の脇腹を触ってしまった瞬間、びくっとエースの体が跳ねて。
それに私は冒頭の台詞を口にしたのだけど、思ったままの感想であって他意はなかった。でもエースにはどうも煽られたように聞こえてしまったらしい。拗ねたように「じゃあお前はどうなの」と起き上がったエースは私へのしかかってくすぐってきたのだ。
やられっぱなしは性に合わないので私も咄嗟にくすぐり返したが、エースの方が上手というか的確によがるポイントを刺激してきて。気付けば私は息絶え絶えの状況に陥っていた。
そりゃ拷問に使われるはずだよ。笑い死ぬかと思った。ただ脇腹とか足の裏みたいな定番はともかく、首や鎖骨をくすぐられた時はこそばゆいだけじゃなくて変な声出ちゃうし力が抜けてゾクゾクして。
なんというか、これは良くない。だから私は「そろそろおしまいにしよう」と切り出そうとしたのだけれど、先にエースが動いた。
「っ、ひん……」
「、こういうのも悪くない感じ?」
ツーッと首筋を指先でなぞられて、さっきよりもびくついてしまう。悶える私を見下ろすエースは楽しそうで、それから視線だけで私の肌を焦がしそうなぐらい熱っぽい瞳をしていた。
ああ、どうやら懸念していたことが現実になってしまったらしい。どう見てもエースの欲情スイッチを押しちゃってる。こうなったらもう私にできることは……特にないんだよなあ!
さっきまで指一本動かすのも億劫みたいな顔してたくせに。内心でそう文句を垂れつつもエースの唇を受け入れる。
「んんっ」
ふーっと耳に息を吹きかけられて、びくびく体が震えた。続けて触れるか触れないか、そんな力加減で耳全体を指でくすぐられる。ただでさえ耳は弱いのにさっきのくすぐりで余計に敏感になっているらしく、おかげで情けない悲鳴じみた声ばかり出てしまう。
寝間着代わりに使っているエースのお古のTシャツを胸の上までめくられた。露わになったキャミソール越しに胸をさすられる。エースは欲情こそしてもがっついてこない、既に膨らんだ胸の先を避ける意地悪な手付きからは有り余ってるだろう彼の余裕が感じられた。
「えーす、ちゃんとさわって……」
「ってば、もうギブアップ?」
「おねがい、いじわるしないで」
こんなに堪え性が無くなったのはエースがいっぱい気持ちよくしたせいだし、エースだからこうなっちゃうのに。
あまりしつこくすると私がヘソをまげて、それどころじゃなくなるとわかっているからだろう。キャミソールの中にエースの手が滑り込む。ただ意地悪は続いていたのか、胸の先への愛撫はいつもみたいに摘まんだり捏ねたりじゃなくて、爪でカリカリくすぐるようにひっかかれた。
キャミソールをめくって、すっかり赤くなった胸の先をエースの舌が這う。部位の違いと唾液のせいか、さっきとは違う刺激に甘ったるく鳴いてしまう。
ジンジンする胸の先を置いて、あばらへとエースの舌が移動する。くすぐったさに身をよじっていたら、同時にショートパンツから出ていた足を撫で回された。両方からの刺激に頭の中がかき混ぜられて、もう何も分からなくなる。
ショートパンツの中へ潜り込んだエースの指が膣口やその周辺を擦る。もどかしい程度の刺激のはずなのに信じられないぐらい感じてしまう。
愛液を纏わせた彼の指が陰核をくるくる撫でる。それに腰が勝手にくねって太股を擦り合せてしまう。まるでもっと触ってとばかりに彼の指へ体を押しつけようとする自分に気付いて、あまりのはしたなさに泣きそうだった。
するっと下着ごとショートパンツが抜き取られる。刺激としては緩やかなものだったはずなのに、秘部と下着の間に糸が引いていたのが見えてしまった。いつもと同じくらい、いや普段以上に私は興奮してしまっているらしい。
「まだイってないのにすっごいびしょびしょなってんじゃん」
「う、うう……」
「お前、オレにくすぐられてた時からエロい気持ちになってたもんな」
私もまた欲情していたのだと突き付けられて反論できなかった。なにせ自覚はあったから。精一杯隠していたつもりだったけれど、私のお粗末な擬態を目敏い彼が見破らないわけがなかったのだ。
差し込まれたエースの指が膣内を緩くかき混ぜる。ぐずぐずになっていたそこはもうほぐす必要が無いように思えたけれど、エースは私の反応を見ながら中を探っていった。
上のざらざらした部分を撫でられる。高い声で喘ぐうちに溢れる愛液が増して、さっき以上にエースの手が濡れてしまった。
「えーしゅ、いっしょがいい……」
「ん、ちょっと待って」
今にもイってしまいそうだったけど我慢して回らない舌でおねだりしたら額にキスされる。それからエースは私から離れると服を脱ぎ始めた。また私の元に座り込んだ彼の熱にはきちんと避妊具が装着されている。
張り出た先端が膣口に宛がわれ、緊張に心臓がどくんと脈打った。にゅーっと熱の固まりが中の肉を押し広げていく。先程よりも強い快感から腰の近くにあった彼の腕をぎゅっと掴んだ。こうでもしないと今にもイってしまいそうだったから。
彼の熱が全部収まったなら、さわさわと脇腹をいじられる。でも今の私の体はくすぐったさを快感に変えてしまうようになっていて、気持ちいいとしか思えなかった。ぶるぶると太股が震える。喘ぐばかりで閉じれない口から唾液が垂れていた。
今度はおなかを撫でられる。そこにはさっきと違ってくすぐるような意図は感じられなかった。ただ嬉しそうな、どこか恍惚とした表情をエースは浮かべている。
「あっ、あ、あ」
エースの腰が動き始める。ゆっくりグラインドさせながら、彼は的確に私が感じる場所ばかりを突いてきた。
そんな中、ぱくりと胸の先を咥えられる。ちろちろ、舌でやわく舐められてしまえば、もう鼻にかかったような甘ったる嬌声しか出せなくて。
ぐりぐりおなかの奥を捏ねられる。大きくなった快感に彼の腕を掴む手に力がこもった。涙や涎でひどい顔になっているだろうにエースは「かわいい」と囁いてくる。嬉しくて口を緩ませれば優しくキスされて。
エースも限界が近いのか、力強く腰を打ち付けられる。パンパンと肌がぶつかる音、ぐちゅぐちゅと響く水音、どっちも卑猥で聞いていられないけど耳を塞げる状態じゃない。がくがく体が揺れる、縋るようにひたすらエースの名前を口にする、彼から与えられる快感にただただ翻弄されて。
「〜〜〜〜っあああ!」
高い声を上げた私の体がびくんと反り返る。ぎゅううと一際強く締め付けてしまったことにエースが息を詰めた。
くたりとシーツに身を預けながら、中で彼の熱が脈動するのを感じる。もう一度キスしてエースの熱が中から引き抜かれた。普段ならもう一回頑張れるのだけれど、思ったより事前のくすぐりで体力を奪われていたらしい。強烈な眠気に促されるまま瞼を閉じた。
先述の通り、やられっぱなしは癪に障る……と言うことで後日リベンジの為くすぐり用の筆を手にエースの寝込みを襲ったところ、思いっきり狸寝だった彼に「またあの可愛い顔見せてもらおっかな♡」とめちゃくちゃに返り討ちされてしまったのは余談である。
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