メインディッシュのお時間です

「……お前さ、いくらオレが相手とはいえ、とんでもない事言ってる自覚ある?」

 エースのその指摘はごもっともだと思う。私が彼にお願いしたそれは少なくとも夫に頼む事ではない。自分でやるべきだって私もわかっているのだ。
 だがあいにく私がエースに無茶ぶりをするのはこれが初めてじゃないし、前回も今と同じぐらい渋られたけど最後は結局OKしてくれて。なので今回も何かと私に甘いエースの事だから……と期待していたりする。
 ちなみに前の無茶ぶりは「胸を揉んでくれ」というものだった。それも恋人同士ならまだしも、頼んだ当時、私とエースは両思いだと気付いてない(なんならエースは私が別の人が好きだと勘違いしていた)状態で。
 しかもなんでそんな事をお願いしたかと言えば、好きな相手に胸を揉まれると大きくなるという話を聞いて、巨乳好きなエースの為に貧相な自分の胸をどうにかしたかったからだ。今思えばトンチキ過ぎるし本末転倒だとわかるけど、あの時は本気で悩み抜いた末の結論だった。
 まあともあれ、その事がきっかけで私達は付き合い始め、最終的にはこうして結婚してるわけで。なお恋人になってからもたくさん触られてきたが、胸のサイズは当時から成長していない。どうして。

「つーか、なんで今更やろうと思ったの。お前の故郷だと剃らないのが普通なんでしょ?」

 元いた世界でも海外では剃るのが一般的なのは知ってたけど、ヨーロッパっぽいツイステッドワンダーランドもそこは同じらしい。なのでエースも全部剃るまではいかないけども、きっちり形を整えていた。
 だが日本では基本的に剃るどころか手入れすらしない。そういう私もちゃんとしたやり方がわからなくて洗うくらいしかしてなかったし、調べても怖くてできなかったのだ。
 ここまで言えばおわかり頂けるだろう。そう、私がエースに頼んだのは下の毛の処理である。エースの言うとおり、とんでもないよね。わかってます。でもこんなの他の人に頼めやしない……!
 それに私がこんな決意をしたのはエースがきっかけなのだ。

「私達、その……子作り始めたでしょ?」
「……あー、うん。してるけど。で?」

 ちゃんと納得してもらおうと私が説明しはじめたのなら、エースは照れた様子を見せる。
 結婚生活にもだいぶ慣れてきたからそろそろ……と始めてからというもの、エースいつもノリノリなのに。改めて言われるのは恥ずかしいらしい。おかげで思わず私も照れてもじもじしてしまう。
 でもそれだと話が進まないし、エースも促してくれているので何とか続きを言葉にする。

「早くエースの赤ちゃん欲しくて。だからその為にえっちな下着、買ったの」
「…………どんなの?」
「えっ?! えっと、透けてるのとか、ほぼ紐のとか」
「ひも」
「そ、それでね、どれも布が少なくて、今の状態だとはみ出ちゃうのがマヌケで気になっちゃって。でも自分でするの怖いから……エース、だめ?」

 普段の夫を真似て、あざとくおねだりする私に「、お前さ、オレの事どうしたいわけ……?」とエースは顔を手で覆っていた。そんなエースだが声も体も震えている。あと表情はまったくわからないけど、彼の耳はかわいそうなぐらい赤くなっていた。
 しばらく無言が続いた後、勢いよくエースが手を剥がす。明らかになった彼の顔は見るからに赤い。あとちょっと怒っているのか、目尻がつり上がっていた。

「やってやるけど、その後、絶対エロいことするから!」
「う、うんっ!」
「『うん!』じゃねーよ、バカ! あ゛ッーー! お前のそういうとこホント苦手!!」

 盛大に照れギレするエースの気迫に若干押されつつも、私は無事に約束を取付けられた事を喜ぶのだった。

 処理するさいはお風呂上がりの毛が柔らかくなった状態で始めるといいらしい。
 なのでエースに言われた通り、入浴を終えた私はタオル一枚の姿でベッドにやってきていた。私に気付いたエースがちょいちょいとベッドの上から手招きする。彼がいる周囲のシーツには昼間のうちに用意していた道具がベッドの上に散乱していた。
 自分ので慣れているはずなのにエースはわざわざ女の人の手入れの仕方を調べてくれて。自分が使ってるものでは刺激が強すぎるだろうと女性用の手入れ道具を買ってきてくれたのである。なんか思ったより大事になってる……。
 タオルを外して、まるで行為の時のように裸でシーツの上に横たわる。恥じらいから閉じていた足をエースが左右に大きく広げて。

「じゃあ始めるから」
「お、お願いします……」

 エースがまず手に取ったのは電動式のトリマーだった。長いまま剃ると毛根が痛むのだと慣れた様子でエースは私のアンダーヘアーを短くしていく。集中してるのか、まるっきり無言。ジジジッとトリマーが動く音だけが響いている。
 手持ち無沙汰なせいか、自分から言い出したことなのに急に恥ずかしくなってきた。私を真剣な顔で見下ろす彼を見ていられなくてぎゅっと目をつむる。エースとの普段のえっちで、もっと凄い体勢とかしてるのに……!

「ひあっ」

 私が悶えている間にトリマーによる調整が終わっていたらしい。蒸しタオルで拭われた後、シェイビングクリームを局部に塗りたくられる。その独特の感触に思わず身をよじれば「危ないから動かないでよ」と諫められた。
 エースがスプレーからカミソリに持ち替える。肌に触れた刃の冷たさに思わずびくつきそうになったけれど何とか耐えて。ならば少しずつ慎重に、けれど滑らかに私の肌の上を刃が滑っていく。
 くすぐったさと、エースの視線と、いかにもなショリショリという音に思わずくぐもった声をもらしてしまう。ぴくぴく何度も反応する私に真剣な表情をしていたエースが唇を歪ませる。

「なに、ってば剃られて感じてるわけ?」

 疼くおなかの熱さに否定できない。口を押さえて震える私の顔は始まる前の彼のように赤らんでいることだろう。
 剃った箇所をエースが指先でなぞる。どうやらそり残しを確認しているらしい。これは下心とかなくて純粋に気遣ってのことなんだろう。だけど剃られたばかりの薄い皮膚は敏感になっていて、つい腰が揺れてしまった。
 その後も丁寧に作業を続けながらエースは「濡れてきてるじゃん」とか「剃ってるだけなのにのえっち」やら詰って、私の羞恥心を煽ってくる。でもエースも私の事言えないぐらい興奮してるのが窺えて、それにまたドキドキしてしまう自分がいた。

「じゃ、仕上げに保湿するから」
「ぁ、あっ♡」

 軽くタオルで拭かれた後、ジェルを隅々まで塗り込まれた。ジェルの冷たさとエースの手付きに思わず小さく喘ぐ。
 仕上げ終えたエースは用意していたカゴに道具をしまい、サイドテーブルへとそれらを移動させる。元の体勢に戻った彼は遮る物のなくなった秘部をまじまじと眺めてきて。

「良い感じにつるつるにできたと思うけど、どーよ?」
「す、すごく恥ずかしい……」
「その恥ずかしい事をわざわざオレに頼んだお前だからね?」

 ぐうの音も出ない正論である。でもなんだかんだエース、わりとノリノリでやってたし、ここはそれでおあいこってことにしてほしい。
 とりあえず一通り終わったのだけれど、どうすればいいのかわからずにいれば、エースは「そーいえば」と何か思いだしたようだった。

「女の子ってここ剃っちゃうと繋がってるとこ丸見えになるし、刺激がダイレクトに伝わるから感度良くなるんだってさ」
「え゛っ?!」

 さらっと衝撃の事実を伝えられたことに動揺してしまう。なんでそんな大事なこと、先に言ってくれなかったの……!? 視線で彼を責めてもエースはどこ吹く風。後悔したところで既に私のそこは更地である。
 私があわあわしていればエースがズボンの膨らみを太股へ擦り付けてくる。とろけた彼のチェリーレッドからはハッキリと欲情が見てとれた。布越しでも伝わってくる熱に私は自然と口を噤む。

「ね、、確かめさせて」

 ねだりながらエースは潤った私の秘部を指の腹で撫でる。私が頷いたらすぐにこの指は私の中をまさぐり始めるのだろう。でもそれは困る。
 せいいっぱい手を伸ばして彼の服を掴む。予想外の展開だったのだろう、エースが「?」と問いかけるような声色で私の名前を呼ぶ。

「お、お風呂で準備してあるから、もう入れて……」
「…………自分でここ慣らしたの?」
「だってエース、終わったら、えっちするって言ってたから」

 悪い事をしたとは思ってない。でも恥ずかしさから、まるで言い訳してるかのように私はもごもごと口ごもる。
 幾度となく彼に拓かれてきた今では彼のあの言葉に期待せずにはいられなくて、気付けば下腹部に手が伸びていた。少しでも早くエースに抱いてほしくて。
 告白する私にエースが目を細める。どことなく嗜虐性を感じさせるその視線に私の心臓は強く脈打っていた。

「今は限界だから、後でえっちな下着付けてやってるとこ見せてよ」
「や、やだ……」
「お前のお願い叶えたんだから、もオレのお願い聞いてよ。ちゃーんとオレが教えたことできてるか、確認したいしさ」

 まるで幼子を宥めるかのような口ぶりでの頼み事にビクッと体が跳ねる。
 その昔、交際が始まってしばらくした頃、私はエースに一人遊びしてるところを見つかってしまって。ついでにあまりにも下手くそだったが為に、見かねた彼から手ほどきを受けることになったのだ。もうそれはそれはいっぱい教え込まれた。
 今更だけどあんな恥ずかしい思いは二度としたくない。だからイヤイヤと首を横に振る私をさておき、エースは秘部にいつの間にか取り出していた熱を宛がう。ぷちゅと彼の先端に入り口が吸い付くのが自分でもわかって、そのふしだらさに顔から火が出そうだった。

「ふぁあっ♡」

 ぐぷぷと音を立てながらエースの熱が私の中へ入り込んでくる。慣らし足りなかったのか。少しばかりこじ開けられるような感覚があったけども、それでも幾度とエースを受け入れた体は快感だけを拾い上げる。

「ほら、見てよ。ここ丸見えになってるの、わかる?」
「あぅ♡ やっ♡ やだ、やだぁ♡」

 ぐいっと腰を持ち上げて、エースは結合部を私に見せつけてくる。彼の言うとおり、貫かれてる様がハッキリ分かってしまって。すぐさま目を逸らしたけれど、さっきの光景は頭に焼き付いて離れてくれそうもない。
 体をくねらせて逃げようとすれば、繋ぎ止めるように深く穿たれる。腰を引いて、ぶつけて。エースが律動する度に彼の肌が剃り跡と擦れて、下腹部に甘い痺れを残す。
 触れ合っただけでいつもより高い声をあげる私にエースは楽しそうだ。限界なんて言いながら動きを止めて眺めるだけの彼にたまらず秘部を擦り付ける。視界がちらつき始めたその瞬間、エースがばちゅんと勢いよく腰を打ち付けてきて。
 子宮口に先端をねじ込むかのよう、何度も何度もノックされて、その度に軽く意識が飛ぶ。でもすぐに快感で行為へと引き戻される。

「ふ、ぅうっ♡ えーす♡ えーす♡ ぐりぐり、やらぁ♡」
「こんなぎゅうぎゅうに締め付けながら言われても説得力ないんだけど」
「あっ、あ、あ♡ きもちよすぎるからぁ♡ えーす♡ ん、んっ♡」

 早まっていくストロークに何も考えられなくなる。喘ぎながら、うわごとのように彼の名前を呼ぶばかり。唇を塞がれ、最奥へと先端が押し付けられる。びくんびくん跳ね上がる体、爪先がぴんと伸びると同時に漏れた絶頂の声は彼の喉へと飲み込まれた。
 びゅるるっと勢いよく熱い飛沫が流れてきて、子宮の中をエースの赤ちゃんの元で満たされる。吐き出したそれを更に押し込むようにエースが腰をゆさぶって。そんな彼の動きに応えるかのよう、私の中は浅ましく彼の熱へとしゃぶりついていた。
 いつもならこのままもう一回となるのに、エースは中から固さの残るそれを引き抜く。ぽっかりと空いてしまったおなかが寂しい。はくはく、力なく唇が動く。こぽ……と泡立った二人分の体液が中からこぼれ落ちた。
 今日はこれでおしまいなのかな。もっとほしいと疼くおなかを手で押さえる。おずおず窺うように視線を向ければ、エースは身をかがめて私の耳元に唇を近づける。

「例の下着、どこにしまってんの?」
「え……?」
「取ってきてやるから付けてるとこ、見せて」

 それだけ言い終えるとエースは身を離す。見下ろす彼の目はまだ熱に浮かされたままだった。
 間違いなく見るだけじゃ済まない。きっとまた恥ずかしいことをされて、言われて、見せられて。そうわかっていながら、私は「チェストの二段目」と口にしていた。

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