このばかやろう、まかせとけ
『そりゃあ、おっぱいは大きいに越したことないじゃん。監督生もそう思うだろ?』
それはかつて私が男装していた時、エースとの関係に恋人が加わる前の話だ。
あの日もエースはオンボロ寮に泊まりに来ていたのだが、何故か彼が持ってきたエロ本を一緒に見る事になって、本の中のどの女の子が好みか伝え合うなんて展開になっていた。
そういえば中学の頃、教室で男子がこんな風に盛り上がっていたこと(さすがにエロ本じゃなくてグラビア雑誌だったけど)を思い出し、おそらくこれは男の子同士のコミュニケーションの一環なんだろうなと受け入れて。
そこでエースの好みを知ったわけだが、彼が示したのは服の上からでもわかるぼいんぼいんの女の子だった。女の自分でもたぶんすれ違いざまについ目を追ってしまうだろうなってレベルの。
当時はまだエースの彼女になる人は大変だなとしか思わなかったけど、よりにもよってその彼女になってしまった今ではそんな呑気なことも言っていられない。
なにせ私はサラシが必要なくとも男装ができるほどの——貧乳なのである。
◇
突然だが、おそらくこの浴室から出たら私は初体験を迎えることになる。いや本当に自分でも何を言ってるんだって感じなんだけども、もはや今夜はその空気に染まってしまっているのだ。
ことの始まりは先週エースが「来週の休み、泊まりに行ってもいい?」と聞いてきたせい。私が女だと知ってからデュースは控えるようになったが、エースは依然としてしょっちゅうオンボロ寮に泊まりきていた。なんなら自分の歯ブラシやらパジャマとか置いてるぐらいである。だからいつも勝手に泊まっていくのに今更何をと思っていた。
でも、彼の目を見た瞬間、いつもと違う熱っぽい視線に『あっ、これ抱かれるやつ』と悟らされて。
お付き合いが始まって三ヶ月。いかんせんエースが初めての彼氏だから比べられないけれど、元の世界の女友達とかの話からして妥当な時期なのだと思う。キスはもう何回もしてるわけだし、いずれはそうなることも視野に入れていた。
エースが宣言してきたのはたぶん私に心の準備をさせる為だったんだろう。今でこそ大丈夫だけど、最初の頃の私はキスですらびくびくしていたから。本質的には優しいんだよなあ、エースって。
それに女は心以外にも色々と用意が必要なのだ、下着とか体のお手入れとか。だからエースの気遣いは本当に助かってるんだけども。
「……どうしよう」
シャワーで泡を流しながら、私は彼の好みとは真逆のぺったんこな自分の胸を押さえてぼやく。
エースへの恋に気付いた半年前ぐらいからずっと、牛乳豆乳キャベツ鶏肉、早寝、筋トレ、とりあえず育乳に効果的だと言われていることは一通りやってきたが、この通り全く成長は見られない。慈悲は無いのか。
おかげで先日こつこつ溜めてきたマドルを握りしめ、クルーウェル先生に豊胸薬作ってくださいと泣きつく羽目になったのだが「男は女性が思ってるよりも遙かに単純だから心配しなくていい」「そもそも女性を胸で判断するような男はクズだから別れろ」と宥められただけで終わってしまった。
クルーウェル先生はああ言ってくれていたけど、それでも。エースに幻滅されたらという不安は拭えなくて。
「——なあ、」
「ひっ?!」
こんこん、と浴室と脱衣所を繋ぐガラス戸がノックされる。それと同じくして聞こえてきた彼の声に私は思わず飛び上がっていた
なんとか転ばずに済んだものの、それでもすりガラス越しに映る彼の姿に慌てずにはいられない。胸を押さえている掌が下からの鼓動に突き上げられている。彼の声を聞き取りやすくする為、きゅっとシャワーを締めた。
「あ、良かった。起きてた」
「えええ、エース?! 何、どうしたの?!」
「なかなか出てこないから様子見に来ただけ」
そういえば前うっかりバスタブで寝て溺れかけた話してたな……。そしてエースの言う通り、今日はかなり長風呂している。そりゃ心配するよね、ごめん。
しかも彼には先にお風呂入ってもらっていたから待ち遠しいっていうのもあったんだろうなと勝手に想像して、改めてこれからそういうことになってしまう実感に顔が熱くなる。と、とりあえずちゃんと説明しないと。
「あ、あのエース、ごめん、もうちょっと待って。その、いつもより、念入りに磨いて……」
言いかけてはたと気付く。これ、抱かれる気満々ですって言ってるようなもんじゃない?
失言にあばばばと焦って騒ぎ立てる心中とは裏腹、私達の間に沈黙が訪れる。数秒か、数分か、パニックになっていたせいでわからない。ただしばらくしてエースが私の名前を呼んで。
「……期待してる」
優しげな声だった。ガラスのせいでわからないけど今の彼はきっと微笑んでいるのだろう。
湯船に浸かってもないのにのぼせそうになりながら、私は少しでもよく見えるよう準備して、それで。
◇
「お、お待たせしました……」
「ほんっと、待ちくたびれたわ」
くつろぐ彼の隣、つまりベッドの上で正座した私へエースがクレームを飛ばす。でもそのわりに彼の声はやわらかく、しかも微笑んでいる以上、怒っていないのは一目瞭然だった。
起き上がったエースがぎゅっと抱きしめてくる。「やわらけーし、良い匂いすんね」と私を腕の中に収めながらエースが呟くのに、いつもよりお高いボディクリームを使っておいて良かったと思いつつ抱き返す。ちょうど耳元に来る彼の胸の鼓動は落ち着いている様子にしては意外にも早くて、なんだか私の方まで更にドキドキさせられてしまう。
「ん」
エースの唇が口を覆う。ちゅ、ちゅと音を立てて唇を吸われる。軽い刺激で、きっとこれは序の口で、でも私の瞳は既にうっとりと蕩けてしまっていることだろう。
ゆっくり後ろへと押し倒され、さっきよりも強く唇を押しつけられて。いつの間にか入り込んだ舌にねっとりと口の中が浸食されていく。
おずおずと舌を伸ばせば絡められて優しく甘噛みされる。当てがわれる歯に覚えるのは痛みではなく電流のような快感だけで。敏感な上顎の粘膜を固くした舌先で何度もなぞられて、そのたび甘ったるい吐息が私の口から漏れていく。
「はちゅーすんの、好きだよな」
「うん、すき……」
エースと違って下手くそだけれど、もっとしたくて私の方から唇を寄せる。子供みたいなキスだったそれはエースによってすぐ深まっていって。舌を緩く吸われるのが、ただただ気持ちいい。飲みきれなかった唾液が口端から糸のように垂れていく。
口付けに溶けきっていた理性を帰らせたのは、ぷちと彼が私のパジャマのボタンを外す音だった。ずっと抱き続けていた懸念が戻ってきたことで、自分でも気持ち悪いほど頭の芯が冷めていく。
「え、えーす」
そんなつもりはなかったのに彼を呼ぶ自分の声は震えていた。きっと顔にも出てしまっていたのだろう、瞼にエースの唇が落とされる。そうしている間にもエースの指は私を脱がすために動いていく。全てのボタンが外れた途端、前身頃が左右にはだけられた。
背中にエースの手が回ってホックが外される。上へとブラジャーがずらされて、私の貧相な胸がエースの目に入る。じっと眺めるばかりでエースは何も言わない。
やっぱりがっかりさせちゃったよね。そうだよね、嫌だよね。エース、大きいの、好きだから。でも、でも。
「小さくて、ごめんなさい……」
だめだってわかってるのに、気付いた時にはぼろぼろと涙が溢れてしまっていた。
腕で胸を隠す。もうこれ以上、エースに幻滅されたくなかった。ぐずぐずと鼻をならして子供みたいに泣きじゃくる。そんな自分をみっともないと思っても、どうしても涙は止まってくれない。
「頑張って大きくするから、嫌いにならないで」
半年間頑張っても無意味だったのに何を言ってるのか、できもしないくせに最低だ。これじゃオモチャを欲しがってだだをこねる子供と変わらない。
そうしてただただぐずつく私にエースが大きな溜め息を吐いた。びくと体が跳ねる。ああだめだ、呆れられて。
「えっ、あっ」
ぐりと太股に固い物が押しつけられる。驚きながらも見やった先にあったのはエースの下半身で、えっと、つまり……?
その正体を理解した瞬間、涙はぴたりと止まって体温が急上昇する。はくはくと言葉を出せない私に、エースは拗ねたような顔を見せた。そんな彼の耳は明かりのないこの暗闇でもわかるほど赤い。
「お前のせいで、もうオレこんなことになっちゃってるんですけど」
胸を隠していた腕を退かされて、ぐりぐりと膨らみを更に擦り付けられる。彼の目は私の胸に集中しているが、それは萎えるどころか、むしろ。
彼の台詞と変化の意味に、へにゃと力の抜けた表情になるのが自分でもわかった。眉が下がって、でも唇は緩んで。
「うれしい」
咄嗟に零れた本音に、エースはぎゅーと目を瞑って何とも言えない顔を見せる。どういった感情なんだろうか、またしても不安がる私の目尻へエースは涙を吸い取るようにして口付けてくる。
「……触るから」
「うん、さわって。エース」
「あ゛ッーー! もう、ばか! お前ほんとばか!!」
めちゃくちゃキレながらも宣言した通りエースは私の胸に触れる。ただでさえ小さい胸だから、エースの大きな手にはすっぽり収まってしまって。
包み込むようにしてエースが両手を動かす。それからすりすりと乳輪を指先でさすったり、指の腹で胸の周りをなぞったり。その度にぴくぴくと私の体は反応してしまう。
彼から与えられた刺激に胸の先はぷくと膨れてしまって。早く触ってとばかりに色付いたそれが視界に入り羞恥心を煽られる。は、は、と興奮している私からは浅い息ばかりが漏れていた。
「ひゃうっ」
ぴんと指先で胸の先を弾かれて甲高い声があがる。とにかく甘い媚びるようなそれを自分が発したなんて信じたくない。でも今も零れている事実を突き付けられ、顔がかっと熱くなった。
胸の先を摘ままれながら唇を重ねられる。好き勝手口内をまさぐる舌、押しつぶしたりひっかいたり絶えず胸の先を弄る指、両方の刺激に頭がくらくらしてくる。
右胸は指でいじめたまま、左胸の先をぱくりとエースが咥える。べろりと舐めたかと思えば、ぢゅっと音が立つぐらい吸い上げたり。ぞくぞく腰が痺れて、お腹の奥がぐつぐつと熱くてたまらない。
恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがないのに、エースにいっぱい触ってもらえてそれ以上に嬉しい。どんどん彼の呼吸が荒くなって、綺麗なチェリーレッドはすっかり欲情が滲んでいる。ああ本当に私の体で興奮してくれてるんだ。
「すっげー濡れてんね」
「……だって、エースが触ったとこ、ぜんぶ、気持ちいいから」
パジャマのズボンを脱がされて、ショーツも足から引き抜かれる。下着越しでもわかってたぐらい、ぐちゃぐちゃになってるそこをエースが指の腹で優しく撫でれば、ぬちゅと粘ついた音が立つ。
「……お前、それわざと?」
「え……?」
「あー、うん、わかった。お前そんな器用な性格してなかったね」
だからこそ厄介なんだけど、と何だかエースが遠い目をしながら呟く。それからキスを一つ。たぶん何かを誤魔化す為なんだろうなと気付きながらも受け入れて。
「エース、私だけ裸なの、やだ……」
「りょーかい、ちょっと待って」
何も纏っていない私に対して、エースは一糸乱れぬ姿。それを不満に出せば、すぐさまエースは服を脱ぎ捨ててくれる。初めて見た彼の引き締まった体につい見惚れていれば「のすけべ」とからかわれた。
こんな状況でなんだけども基本的に煽り耐性の低い私は思わずムッときてしまって。ぷいっと正面の彼から顔をそむける。
「エースだっていっぱい私の体見たのに」
「拗ねないでよ」
ご機嫌取りのつもりなのか。軽いキスが何度も繰り返される。我ながら馬鹿だと思うけれど、それであっさり彼の意地悪を許してしまう。ちょっと単細胞過ぎるけれど、別に本気で怒ってるわけじゃないのだから仕方ない。
唇が離れてそれを少し寂しく思っていれば、優しく頭を撫でられる。すりとその掌に甘えればエースは微笑んで。
「お前の綺麗な体、全部見せて」
「へっ、き、きれいって」
「綺麗だし可愛いよ。見た瞬間、頭の中、真っ白になったぐらい」
突然の甘い言葉にわたわたと慌てふためいてしまう。でも嫌とかじゃなくて、むしろ好きな人から言われたものだからキュンとしてしまって。動揺しすぎたあまり返事が浮かばず、ただただ頷く。
私の了承は無事に届いたようで、ちゅともう一度触れるだけのキスのあと、指が中へと差し込まれる。こうして体の中に受け入れるのは初めてだけども、ぐちゃぐちゃになってたせいか、まったく痛みはなかった。
ほぐすように中をゆっくりかき混ぜる彼の指に内股がぴくぴく震えてしまう。湧き上がってくる未知の感覚に喘ぐ声が止まらない。気持ちよさに頭の中までどろどろに溶かされていく。
気付いた時には三本も彼の長い指が私の中に入り込んでいて。じわじわ溜まっていく熱に身も心も翻弄される。
「やっ、えーす、これ、だめっ。こわい、こわいよ、きもちよすぎてへんになるから」
「いいよ、おかしくなって」
「だめ、だめ、あっ、あああ」
頭の中で火花が爆ぜて、視界がちかちかする。お腹の中がきゅうきゅうと動いて、形がわかるぐらい彼の指を締め付けてしまう。一気に押し寄せた快感のせいで呼吸すらままならない。
「えーす、えーす……」
「ん、ちゃんと気持ちよくなれたな。いいこ」
初めての感覚に怖くなってエースに縋れば、宥めるようにして囁かれる。ごほうびとばかりにキスをしながらエースが指を抜く。それにすら快感を覚えてしまい、意識と関係無く声が出る。ただ口を塞がれていた為に音にはならなかった。
エースが下着を脱ぎ捨てた途端、飛び出してきた初めて見る男の人のそれは一瞬見た限りでもひどく大きくて。いや経験無いから比較できないんだけど! たぶん絶対大きい! わかんないけど! ひえと悲鳴を漏らして、思わず顔を逸らす。
見れないから耳で判断した限りだが、ぴりと何かを破く音とごそごそ動く気配からして避妊してくれてるのだろう。その気遣いにまた胸がきゅんとしてしまった。ああ私大事にされてるんだなと。
「えーす」
「んー? どうした? 怖い?」
「すき」
「……前言撤回。このタイミングで言うとか、お前悪い奴だわ」
突然の悪者判定。ただその後に「オレも好きだよ」とひどく小さな声の告白が続く。お風呂上がりだから比べられないけど、きっとあのハートがわからなくなってただろうと思うほどに今のエースは赤面していた。
ぴたと濡れそぼった秘部にエースのピンク色のゴムに包まれた熱が宛がわれる。その質量に喉が引きつった。でも嫌だと思う気持ちは一欠片もなくて。
すりつけられるたびにちゅぷちゅぷといやらしい音が立つのが恥ずかしい。じわじわもどかしい快感に震えながらシーツを握り込む。
しっかり腰を掴まれ、ついにぐぷりと先端が中へ埋まる。ぐーっと中を掻き分けるようにして、ゆっくりエースの熱が奥へと押し込まれていく。
たくさん慣らしてくれたからか、痛みは殆どなかった。ただ圧迫感で少しお腹が苦しい。ぽろぽろと生理的な涙が勝手に流れていった。
「えーす、だいじょうぶ……?」
シーツから手を離してエースの頬に触れる。彼が苦しそうに眉を顰めていたものだから声をかけずにはいられなかった。それにエースはこつんと額を合わせてくる。
「なんでお前がオレの心配すんの、お前の方が苦しいくせに」
「えーすが、やさしかったから……わたしはへいき」
「……ばーか」
そっと唇が塞がれる。やっぱり優しい口付けに頭がふわふわしてくる。そちらに夢中になっているうちに気付けば彼の熱が全部私の中に収まっていた。
彼の背中に腕を回してぎゅっと抱きつく。ぴたりと隙間無く密着する肌がどうにも気持ちよかった。どのくらいそうしただろう、すっかり彼の熱が私の中に馴染んだところでエースが身を起こして。
「ふ、ぁあ」
腰を持ち直したエースが「動くよ」と宣言する。咄嗟の事で返事はできなかった。
エースの熱がずると抜けていって、また奥へと入り込む。思いっきり打ち付けたいだろうに、エースは私の呼吸に合わせて動いてくれているみたいでひたすら気持ちいいばかり。
彼の熱が出て行く度に私の中は行かないでとねだるかのよう、ぎゅうぎゅうに締め付けてしまう。腰を打ち付けながらエースは私の胸に手を伸ばす。
「ひああ、ぁ、えーす、えーす」
「すっかりとろけた顔しちゃって……そんなおっぱい気持ちいい?」
「き、もちい、い」
「お前ってホントかわいいね。ぜんぶかわいい」
くにくにと胸の先をいじりながら揺さぶられる。ぱちゅぱちゅ、肌がぶつかる音と粘着質な水音、それからお互いの吐息が部屋中に響き渡っていた。エースもさっきとは違って気持ちよさそうな顔をしていて、それにぞくぞくと感じ入ってしまう。
「えーす、すき、だいすき」
エースの律動が次第に早くなってきて、私の喘ぎ声もどんどん大きくなって。今日何度目かわからないキスをして。
熱が一番奥に押し当てられた瞬間、またあの強い衝撃と快感に体がびくんと跳ね上がった。ぎゅっと力が籠もった爪先が丸まる。耳元でエースの獣のような唸りが聞こえた。
ワンテンポ遅れて中でエースが膨れて。ゴム越しでもわかるその熱さがひどく愛おしかった。
◇
「好きな子の胸ってだけで吹っ飛ぶ位には男はお前が思ってるより単純なの! 余計な心配だから! さっさと忘れて!」
後処理を終え、ピロートークにて。本来ならば甘い雰囲気に持ち込むべきなんだろう。だが私達のそれはエースの必死の弁解の場と化していた。
というのも、私が事の発端となったあのやりとりについて話題に出したのが原因なんだけども。いやーあんなにエースが面食らってる様を見る事になるとは。どうやらクルーウェル先生の助言通りだったらしい。
ここまで彼が慌てているのはたぶん女性相手に下ネタかましてしまったという焦りもあるんだろうけど。こっちの世界の人ってなんだかんだで女子供に紳士的だから、知らなかったとは言えアレは彼としては許しがたい所業なのかもしれない。
「でもエースは大きい胸の方が好きなんだよね?」
「……否定はしないけど、だとしてもお前なら何でもいいんだってば」
「私はやだ」
「は?」
「どうせならエース好みの女の子になりたい」
実は育乳に効果的な方法の中で一つだけ試してないことがある。本末転倒だから、あとは普通に勇気がなかったせいで。けど、彼のあの言葉を聞いた今ならば。
エースの手を取って私の胸へと宛がう。どくどく、耳元で鳴り響いているかのような自分の心音がうるさくてしょうがない。
「好きな人に触ってもらうと大きくなるって、だから」
丸くなったチェリーレッド、ぽかんと開きっぱなしの形の良い唇。さっきとは違って明かりが付けられてる状況のせいで、エースの顔がじわじわ熱を帯びていく様がつぶさにわかる。でも私も同じような状態になってるからおあいこということで許してほしい。
「エース、いっぱいさわって、おおきくして」
back