奥様はいじわるヴィランの愛の中

 との結婚を考えてる。
 それを家族に相談したのはアイツが長期休暇をオレの実家で過ごすのが当たり前になった、三年生のサマーホリデーのこと。
 ただでお世話になるのは申し訳ないからとは滞在中うちの家事を受け持っていて、その日もアイツは晩飯の用意で席を外していた。そんな隙を狙ってオレは談話室で「今日のメニューなんだろうな」「ちゃんのご飯なんでも美味しいから楽しみね〜」「デザートにチェリーパイついてるらしいぞ、エース」なんての話題で盛り上がっていた家族へ件の話を持ちかけた。
 オレ達の年齢とかアイツの事情からして一筋縄では行かないだろうと覚悟の上だったが、予想を裏切ってまさかの満場一致でGOサイン。
 あまりにもあっさりOKを言い渡すものだから、つい予想してた反対意見やアイツが断り文句にしそうな不安要素を挙げるオレへ、母さんは夫になる人の保証人欄のサインが記入済みの婚姻届を差し出してきて。それにオレが目を白黒させたのは至って正常な反応だったと思う。
 アイツの教師陣や先輩を懐柔した年上キラーっぷりは学外でも健在らしく、オレの家族にもはたいそう気に入られていた。特に母さんの可愛がりようはわかっていたけども。

「子宮って役割上、魔力を溜め込む性質があるのよね。故に他のどんな方法よりもこの世界のものであるアンタの魔力に馴染みやすいし、例え十ヶ月の間に染まりきらなくても強力な枷が手に入る。その方が確実だと思わない?」

 だからって改名による呪縛を狙っていると話したオレに、悪びれもせず暗に孕ませてしまえと促してきたのにはさすがに耳を疑った。だが狼狽していたのはオレだけで、父さんも兄貴もその意見に肯定的だった。和やかな雰囲気を保ったまま、ぶっ込まれた物騒な会話内容に恐怖を覚える。
 学園の連中なんて目じゃない、ヴィランの神髄を見た。その一員のオレが言うのもなんだけど厄介なのに目を付けられちゃったよな、アイツも。
 幸いにも母さんの案は採用されることなく、当初の予定通りの方法でアイツをオレはこの世界へ縛り付けた。
 さすがに十代の妊娠はアイツへの負担が大きすぎるし、アイツの性格からして逃亡するリスク高そうだし、しばらくは二人の生活楽しみたかったからこういう形で収まってくれて本当に良かった。
 ただ散々母さんの案に文句付けたけど候補に入れなかったとは言ってない。いざという時の最終手段として設定したから、たまたま優先順位が低かっただけで。もしアイツがオレのプロポーズを断って、意地でも帰ろうとしていたならば間違いなく実行していたことだろう。結局その血を継いだオレもヴィランに違いないのだから。
 一応このことは墓場まで持って行くつもり。けどもしそんな結末になったとしても、のことだからなんだかんだで受け入れて。どうやっても諦められないオレを、その理由を知り尽くしたお前は許してしまうんだろう。

「キスだけでえっろい顔しちゃって……そんな良かった?」

 扉を閉め切った寝室は完全に外から切り離されていて、場を占めるのはオレとの荒い息遣いだけ。唇を離し、暗闇に目が慣れた頃に見た彼女の顔はさっきまでの不機嫌はどこへやら理性ごと吹き飛んでいる様子だった。切なげに下がった眉にとろけた瞳、緩んだ口元からは飲みきれなかった唾液が伝っている。
 ご機嫌ななめだった彼女をその気にさせるべく、いつも以上に気合いを入れながらキスしたとはいえ、こうなったのはにも多少なりとも期待していた部分があったのだろう。

「エース、もっとちゅーして……♡」
「はいはい」

 もうこれ完全にスイッチ入ってんじゃん。まだ少し水気の残った髪を撫でていれば、が腕を首を絡めておねだりしてくる。そのリクエストに応えようと口を近づけた途端、ちゅうとの方から唇に吸い付いてきた。
 あーあーあんなにウブだったのに、すっかりオレ好みになっちゃって。初めての時なんか緊張でガッチガチだったのにな、まっあの時も最終的には痛みじゃなくて気持ちよすぎて怖いなんて泣かせちゃったけどさ。

 と言っても、は知るよしもないがズルしてるせいもあるんだけど。ズルといっても媚薬とか魔法とか意図的なものじゃない、オレの意志ではどうにもならない偶発的な要素だ。
 ツイステッドワンダーランドの人間は大小はあれど皆、魔力を持って生まれてくる。それは魔法が使えない人間も含まれていて、誰しもが生まれた時から常に無意識下で魔力を身に纏っている。性格と同じように魔力にも相性があって、波長が合う相手とは仲良くなりやすいんだとか。
 で、ズバリ魔力の相性はセックスの相性にも影響するんだよね。まあ魔力が常時展開しているのと行為の内容からして何ら不思議ではないんだけど、ただこれには例外があって。
 お互いの魔力量に大きく差がありかつ女性側が少ない場合、男側の魔力が馴染んでしまい、本来の相性関係無く最高の状態になってしまうらしい。だから少ないどころかまったく魔力を持たないが相手となれば……。
 「このパターンだと非常に妊娠しやすいので十分に気をつけてくださいね」と、アイツと付き合い始めた直後にこの話でオレへ忠告してきたのはかの学園長である。当時は初めての彼女ができたばかりの男子学生になんつーこと言うんだと思った。
 ただ今考えたらあれって注意喚起じゃなくて、オレにアイツをこの世界に引き留めさせる為の入れ知恵だったんだろうな。婚姻届の保証人欄に快くサインしてたところからしても。
 一応アイツとの結婚報告した時「私としては帰る方法を必死で探していたんですけどねー、貴方が帰らないと選んだ今では見つからなくて良かったですね」なんて抜かしてたけど。いいとこ取り責任転嫁はお手のものってか。さすがヴィランの学園の総大将、ズッルイわー。というか揃いも揃って孕ませ推奨させてくるとかオレの周りロクな大人いねえな。
 ってかさー、責任取れって迫ってくれるならいいよ。でもの性格からして学生時代に妊娠させたりしたら絶対逃げるじゃん。プロポーズの時に確信したね、の事だから妊娠わかった時点で「オレの将来潰す訳にいかない」とか何とか変に気遣って何も言わずに一人で産んで育てるよ。子供は一人で作れるもんじゃないし、普段はわりと利己主義なくせになんだかなー……。

「ん、ぅ、う♡」

 まあでもそんな心配も今となっては過ぎた話で。
 差し込んだ舌を甘噛みする悪い嫁さんへ仕返しとばかりに脇腹を撫でる。びっくりしたが口を開いた為、自由になった舌ですかさず口蓋を舐めて。歯茎やら内頬をなぞれば、首に回された腕に力がこもる。くすぐったさに身をよじってるだけで嫌がってるわけじゃないから続けて絡みとった舌に吸いついて。
 キスだけで堪え性のない息子がズボンの下で必死に主張してくるのに、オレものことあんま言えないなと思いつつ気持ち腰を引く。バレたところでからかわれはしないけど、が口でご奉仕しようとしてくるから。
 いや別にしてもらうのが嫌とかじゃなくて、むしろめちゃくちゃ興奮するけど今日は一段と気分が盛り上がってるせいであんまり長く持たなさそうだからヤダ。童貞じゃあるまいし、咥えてもらってすぐイくのは恥ずかしすぎる。
 このままだと動きづらいのでひとまずの腕をシーツへ下ろして、耳、首筋、鎖骨と順番に唇を落としていく。掌で胸を掬って、膨らみの下のラインを指で擦り付けるように撫でる。開発の甲斐あってこんな小さな刺激でもの体はぴくぴくと反応を示していた。
 彼女のパジャマのボタンを外して前を大きく左右へ開く。暗闇に浮かぶ白い肌の艶めかしい事と言ったら。そのやわらかさを知ってる身としてはたまったもんじゃない。
 昔あまり頻繁にしてたら飽きられそうだから嫌なんて言われたこともあったけど、上手く言いくるめてむしろ回数を増やして正解だった。もう数え切れないぐらいほど夜を共にしたし、の体でオレが触ったことのない場所なんてどこにもない。だけど飽きるどころか、ますますハマっていくばっかりだし。
 ちゃんとの姿を見たくて、こっそりヘッドボードのランプを付ける。身を起こしたついでに中のシャツごとニットを脱ぎ捨てた。ってば一人だけ脱がしてるとめちゃくちゃ恥ずかしがって拗ねちゃうんだよなー、あれはあれで可愛いけど今日は堪能できるだけの余裕が本当にないんだって。

「ひ、あぁ♡」
「あーやわらけー」
「んっ、ふあ、あ♡」

 包み込むように彼女の胸を掌に収めてゆっくり揉みしだく。敢えて胸の先には触らずにいたならば「焦らしちゃやだ」とぐずつかれてしまった。いつもより随分泣きが早い、それだけこの先を期待してるのかと思うと下腹部が重くなる。ってばえろえろじゃん、最ッ高。
 お望み通り赤く尖った胸の先をくにゅくにゅと摘んだり、押しつぶしたり。ちょっと強くしすぎたかと心配になったけど、は甘い声をあげるばかり。その上もどかしげに膝を擦り合せてる。

、下脱がすから腰上げて」

 彼女が指示に従ったところでパジャマのズボンとショーツを一気に引きずり下ろす。同じタイミングでオレも下を脱いで、一緒に床へと投げた。
 ボクサーパンツ一枚でも窮屈そうになってるのを見かねてか、細い指が触ろうとしてきたのを押しとどめる。今は誤射しかねないから止めてほしい。
 乗り気なのはともかく、こうなった理由を忘れてもらっちゃ困る。の下腹部、ちょうど子宮の辺りを指先で軽く叩く。それにびくりとの体が大げさなぐらい跳ねた。

「全部お前の中に注ぎたいから今日はナシな」
「……うん」
「ん、いい子」

 汗で張り付いた前髪をかきあげるようにしてのおでこにキスをする。まるで子供に言い聞かせるような態度を取ってしまったが、オレを見つめる彼女の目は快楽の予感にとろけていた。
 の秘部へと指を沿わせる。入り口を軽く撫でただけでぐちゅりと音が立った。まだ触ってもないのにこのまま挿れても大丈夫なぐらい、の中はトロトロに潤みきっていて。膣口は蜜を垂らしながらひくひくと物欲しげにうごめいている。
 指先を埋め込めば吸い込まれるようにして中へと滑り込んだ。の中はオレの指を歓迎するみたいにきゅうきゅうと咥えこんで離してくれない。
 指を増やしつつ、上のざらついた部分……いわゆるGスポットをなぞる。それと一緒に肉芽を押しつぶせば、あっという間には上り詰めた。一拍置いて奥からとろりとまた蜜が溢れてくる。
 はふはふと必死で息をするは全身を真っ赤に染めていて、いかにも食べ頃って感じ。というかオレがもう限界。ぷちゅと音を立てながら指を抜き去った。指を追うように蜜が垂れてきたのがまたいやらしいったらなんの。

 いつものくせでヘッドボードの引き出しからゴムを取りパッケージを破りかけたところで、何事も無かったかのように元に戻した。
 あーこないだお徳用買ったのは失敗だったな、めちゃくちゃ余ってるんですけど。ゴムってどのくらい持つんだろ。二、三年くらいか? だったら妊娠と子育てでしばらくそれどころじゃないだろうし、一応目に付かない場所に置いてるとはいえ子供に見つからないよう捨てるべき?
 というか、生でするのってこれが初めてなんだよな。改めて気付いて今更ながらに心臓の鼓動が早まるのがわかる。初めての時ぐらい緊張してるかもしれない。
 色々考え込んでいたら、ぺたりとの掌がオレの頬に触れた。じっとオレを見つめる目は何か言いたげだった。

、どうかした?」
「……エースって私のこと、すごく大事にしてくれてるなあって」
「本当にどうした」
「ちゅうが、いやミドルスクール通ってた時にね。クラスの進んでる女の子が『安全日だから生でシた』とか『彼氏がどうしてもっていうから生理中だけどヤっちゃった』とか言ってて。でもエースは言わなくても絶対ゴム付けてくれたし、生理中は手を出すどころか世話焼いてくれるでしょ」
「お前の元の世界のミドルスクール、世紀末かなんかなの?」

 ちょっと、いやマジで意味わかんない。ミドルスクールとかまだ結婚もできねえ子供じゃん、責任も取れない子供が子供作ってどうすんだよ。それに生理中にヤるとか、オレホラーは好きだけどリアルでスプラッタとか無理なんだけど。というか辛そうにしてる女の子相手に欲情するその神経がガチで理解できない。そっちの方がホラーだわ。

「前に一回、あとは挿れるだけのタイミングでゴム切れてるのに気付いた時も、すごく辛そうにしてたのに最後までしないよう我慢してくれたし」
「それはお前が口でするって言ったから」
「でも初めてだったから全然気持ちよくなかったでしょ? けどエースは私のわがまま聞き入れてくれたなーって」

 正直な話が言ってる通りだ。もどかしいばっかりで一応イったけど、テクっていうより視覚的な興奮で何とかなったようなものだ。たぶん手借りた方が早かったと思う。
 けどフェラって興味あったし、今ではすっかりオレの良いところ覚えてるし、あれは最初のきっかけとしてちょうど良かったんだよ。

「お父さん達の話に付き合ってくれたり、居場所がない私の帰る場所になってくれたり、指輪大事にしてくれるところとか。私ね、そういうエースの優しいところがすごく好き。ちょっといじわるなところも、ぜんぶ好き」

 いやいやいや何言ってんの。オレ別にお前が言うような優しい奴じゃないから。お前が挙げたのぜーんぶ自分の為だっつーの。
 ゴム付けたのはお前が妊娠したら逃げそうだからだし、生理の時しないのはヤる気にならないからだし、話に付き合ったのはお前の気を引こうって下心からだし、結婚したのはお前を手に入れたかったからだし、指輪は……えーっとそうデザイン気に入ってんだよ! だから全部自分の為だって!
 口に出してないから当たり前なんだけどはそんなことにも気付かず「他にも……」なんて言って続けようとする。あーあーやめやめ! ぞわぞわと背筋がざわつく感じに耐えかねて、延々と話し出しそうな彼女の口を咄嗟に手で塞ぐ。

「オレはお前のそういうとこ、ホンット苦手」

 だからその生暖かいもの見る目やめろよ、やめろってば。
 なんとかこの雰囲気ぶち壊したくて当初の目的を思い出す。もうこうなったら、そういうくだらねーこと何も考えられないようにしてやる。お前が悪いんだからな。
 ぐいとの足を抱えて開かせる。太股をさする手に「んっ」と小さな声でが喘いだ。ボクサーパンツを下ろすと同時に飛び出してきたそれの先端を膣口へ宛がって。

「ひ、あっ、あああぁッ——♡」
「〜〜〜ッ、あっぶ、ね」

 一息に奥まで貫けば、は背筋を反らしてびくんと大きく跳ねた。それと同時にぐねぐねとの中が激しくうねる。ぐんとこみ上げてきた射精感を腹筋に力を入れることで何とか耐えきった。
 そんな状況に追い込んだ当事者は言葉にならない戸惑いを口にしながら、何が起こったのかわからないって顔をしてる。

「もしかして、、今挿れただけでイっちゃったわけ?」

 わかりきった上で尋ねる今のオレはきっとすっげえいけずな顔してるんだろう。オレの発言に状況を認識したはただでさえ赤かった顔を更に真っ赤に染め上げる。あーかわいい。
 なんて意地悪してるけどオレも普通にヤバい。ちょっとでも気抜いたら出る。あの薄い隔たり一枚ないだけでこんなにも変わるものなのか。それにしたって今のはあまりにも敏感すぎるような。
 ……もしかして付けてない分、いつも以上にオレの魔力が回ってるとか? あーー、うん、たぶんそれだわ。
 きっと今回のが終わればある程度馴染んでしまうだろうから、ここまでの反応を示すのはこれっきりだろう。だったら……気が済むまで堪能するべきだよな?

「やっ、うごいちゃだめ♡ あっ、あっ♡ エース、まって、まって♡」

 頭を振って子供みたいにいやいやと拒む。逃げようとする細い腰を掴み、ぐっと押し込めばはまたイってしまったみたいで、ひくひくと薄い腹が痙攣する。見開かれた彼女の目からはぽろぽろ涙が零れている。
 オレがお前の言うような優しい奴だったら手加減してやるんだろうけど、あいにくオレはこんなごちそう目の前に我慢するようなイイコじゃないんだよな。

「だめ、だめっ♡ あッ♡ あぁぁ♡」
「こーら逃げんな」
「やっ、やらぁ♡ また、きちゃ、ひあああッ♡」

 しっかり腰を捕まえて、下りてきた子宮の入り口をこねくり回す。こつこつ、とんとんと奥を重点的に突くように小刻みに腰を動かせばは甘い声で泣きじゃくっていた。やわらかく拓いたそこが早く子種が欲しいとばかりにちゅうちゅう先端へと吸い付いてくる様に興奮を隠せない。気持ちよすぎる、腰溶けそう。
 そうでなくてもずっとイきっぱなしのの内壁が絶妙な力加減でオレを締め付けてくるせいで我慢とかできるわけなかった。迫り上がってくる欲を早々にの中へとぶちまける。
 その感覚にすらは感じ入ってしまったみたいでびくびく体を震わせていた。痙攣が治まったところではうっとりした顔で熱の広がった腹を撫でる。

「えーすの、あ、つい……♡ おなか、あったかい……♡」
「とろとろになってるとこ悪いけど、まだこれ一回目だからな♡」
「えっ、ひ、あッ♡ あ、ああっ♡」

 絶頂の余韻に浸る間もなく、すぐさま律動を再開する。たっぷり注いだおかげでぬめりが良くなった中は動かすたびに卑猥な水音を鳴らす。
 ぐーっとギリギリまで抜いて、感触をより味わわせる為ゆっくり中を掻き分け押し広げればの喉がのけぞった。円を描くように腰を動かせばイイところに当たったらしく、彼女が掴んだシーツにいっそう皺が寄る。
 腰を抱えなおして今度はずこずこ遠慮なしに抜き差しする。突き上げるたびに揺れる胸がひどくいやらしい、腰の動きはそのままにほったらかしだった胸の先を押しつぶす。

「えーす、や♡ おっぱいやだぁ♡」
「ヤダって顔じゃないじゃん、嘘吐くなんて悪い子だなー」

 ぎゅっと強めに摘まむとは唇を震わせ声にならない悲鳴をあげる。だらしなく開いた口が妙にかわいく見えて、たまらず吸い付いて。上も下も絡め合わせた粘膜は互いの体液に蕩けていて馬鹿になりそうなぐらい気持ちいい。
 一度離した唇をすぐにまたくっつける。小さく音を立てながら軽いキスを何度も繰り返す。そうしてるうちに二度目の射精を迎えて。軽く腰を引けば、収まりきらなかった精液が結合部から溢れてくる。その光景にまたすぐに熱が蘇って。
 やっばい、ぜんっぜん収まらねーわ。の体質を考えればもう目的は果たしたも同然なんだろうけど。終わらないことを肌で感じ取ったのか、泣きはらした目を向けながらは抵抗ではなくおねだりしてくる。

「えーす、えーす♡ たすけて、きもちよすぎておかしくなる、もうしんじゃうよぉ♡」

 お前が帰れないように閉じ込めた男に、そんな状況に追い込んでるオレに助けを求めるとか、ってばバカだよなあ。なーんもわかってない。
 あーあ、オレみたいなヴィランに惚れられるとかホントかわいそうな奴。口先ですらない同情を向けながら、お前を縛る鎖をまた一つ腹へ仕込むオレは希代の大悪党に違いない。
 必死でシーツをしがむ彼女の手を引き剥がし、行き場のなくなったところで指を絡めて繋いでやる。それに無意識かどうかはわからないけど、はきゅっと握り返してくる。そういうとこだよ、お前。
 まっ、オレを落としたのが運の尽きってね。オレの心奪っておいてただで済むと思うなよ。ヴィランはどこぞの王子様みたいに優しくないんだよ。立ち会ったが最後、相手に手心なんてかけない、情けなんぞもってのほか。
 だから、ゴーストになったって離してやるか、ばーか。

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